総合職向けの適性検査として多くの企業に採用されている「玉手箱」ですが、監視の目が無いWebテストのため不正が起こりやすいことでも知られています。
時間制限の厳しい玉手箱では、解答時間があまりにも短い場合、何らかの不正を疑われることがあります。
また不正がバレた場合、不採用になるだけではなく、「ブラックリスト」に登録され、他社の選考にも悪影響を及ぼす可能性があるため、絶対に避けるべきです。
本記事では、不正が解答時間によってバレる理由、発覚した際のリスクなどを解説しています。
目次
玉手箱は解答時間で不正がバレる?
玉手箱の解答時間が不正発覚につながる可能性は十分にあります。
玉手箱は、厳しい制限時間の中で高難易度の問題に解答しなければならず、時間が不足する人がほとんどです。そのため、極端に短い時間で解答を終わらせ、その結果が他の受検者の点数を大きく上回っていると、不正を疑われるリスクが高まります。
企業側には、受検者の総合点・全体の解答時間と同時に、各設問の解答時間、正答率と回答速度の関係まで詳細に伝わります。受検場所を特定することもできるため、不正を疑われるような要素が一切ない環境と状況での受検が必要です。
玉手箱の解答時間が短いと疑われる不正とは?
・代行業者に頼んでいる
・他の人と協力している
解答集を使用している
解答集とは、玉手箱などWebテストの問題と解答がまとめて掲載されたシートのことです。
多くの適性検査では問題が使い回されているため、同じ種類の試験を何度か受検することで、ほとんど全ての問題に一通り触れることができると言われています。
解答集を手元に置きながら受検する場合、出題された問題をシート内から探して解答を入力するだけのため、解答時間は大きく短縮されるでしょう。
近年、解答集がSNSなどで有料で販売されているだけでなく、友達や先輩などから入手できるケースも多く、利用の拡大が大きな問題となっています。
ただし、解答集に掲載されている解答が必ず正しいとは限りません。不正とみなされるリスクを避けるためにも、解答集に頼らず自力で解答を進めることが重要です。
代行業者に頼んでいる
近年では、玉手箱に精通した業者が、応募者本人に代わってSPIや玉手箱などの適性検査を受検する「受検代行サービス」を提供しており、大体1〜3万円程度で利用できます。
代行業者は、適性検査の出題傾向や解法に精通しており、短時間で正確に解答することが可能です。そのため、玉手箱の受検において解答時間が極端に短く、かつ高得点であった場合、代行業者の利用を疑われる可能性があります。
代行業者を利用して適性検査を受ける学生も一定数存在しますが、過去には実際に業者利用が発覚し、逮捕に至ったケースも報道されています。
このように、不正が発覚した場合は厳しい処分が下され、就活だけでなく今後のキャリア全体に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。リスクを十分に理解し、決して安易に利用しないよう注意が必要です。
他の人と協力している
最も身近な不正とも言えるのが、友達や先輩などと協力しての解答です。監視の目が無い玉手箱は、「静かな環境で一人で受検すること」が受検ルールとして定められており、他の人と相談しながらの受検はもちろん違反行為です。
また、応募者本人ではない第三者が受検を代行する「替え玉受検」も、当然ながら禁止されています。過去には、こうした行為により就活中の大学生が逮捕された事例も報道されています。軽い気持ちで他人に依頼することは重大な不正行為につながるため、絶対に避けましょう。
玉手箱の解答時間で不正がバレる理由とは?
・解答時間が短すぎる
・解答時間が短いのに正答率が高い
・他の受検者と成績がかけ離れている
ログデータ・画面滞在時間を解析される
ログデータとは、コンピューターや通信機器が実行した処理の記録のことであり、不正が明らかに疑われる場合、企業側は玉手箱受検中のログデータ開示を請求することができます。
また、インターネットなどで答えを調べながら解答することも、当然ながら不正の一種です。複数のタブを開き、答えを検索しながら解答すると、受検画面の滞在時間が極端に少なくなります。
インターネットで検索しながらの解答は、企業にとっても不正の痕跡を把握しやすく、非常にリスクの高い行為です。さらに、検索しても正確な答えが見つからないケースが多く、時間を浪費するうえに発覚のリスクも伴うため、得られるメリットはほとんどありません。
解答時間が短すぎる
解答時間が他の受検者と比べてあまりにも短い、特に難易度の高い分野の解答時間が短いと、何らかの不正を疑われる可能性が非常に高いです。
そもそも玉手箱は、多くの受検者にとって時間との戦いであり、制限時間の短さが高難易度の一因とされています。例えば、計数分野の四則逆算では、1問にかけられる時間が約20秒しかありません。そのため、時間が余ることはほとんどありません。
多くの受検者が時間不足になる状況で、時間があり余っているのは不自然です。
解答時間が短いのに正答率が高い
解答時間が短いにもかかわらず、正答率が異常に高い場合も、不正を疑われる大きな要因の一つです。通常、受検者ごとに得意・不得意な分野があるにもかかわらず、すべての分野で高得点を取っている場合は不自然と判断される可能性があります。
特に、時間が足りなくなることが多い玉手箱で、全問に近い数を正確に解答しているような結果は、企業側のチェックに引っかかりやすく、不正の疑いを強めてしまうでしょう。
他の受検者と成績がかけ離れている
企業は、玉手箱の受検結果から、受検者に関するさまざまなデータを取得しています。例えば、全体の平均正答率や平均解答時間に加え、各設問ごとの正答率や解答スピードなど、詳細なデータも企業側に共有されます。
そのため、他の受検者が解答できていない難問をいくつも正解していたり、平均とかけ離れた速さで解答を終えていたりすると、ES(エントリーシート)の内容と照らし合わせた際に不自然さが際立ち、不正行為を疑われる可能性があります。
さらに最近では、玉手箱などのWebテストを選考の初期段階で実施した後、最終面接前などに対面での筆記試験を行う企業も増えています。Webテストと筆記試験の成績に大きな差があると、企業側に疑念を持たれるリスクが高まります。
解答時間が短くて不正がバレた時は何が起こる?
・就活全体に影響が出る
・大学の後輩にも影響を及ぼす
・入社後のミスマッチに繋がる
・内定後に内定取り消しになる
・逮捕されてしまう可能性もある
選考に落ちてしまう
玉手箱の不正がバレた場合、その企業の選考は確実に不合格となるでしょう。
選考の比較的初期段階で実施されることの多い玉手箱ですが、受検までに提出したエントリーシートや受けた面接の努力が成果に結びつかず終わってしまいます。就活は学業や課外活動と同時並行のため、できるだけ効率的に進めたいと考える人が大半でしょう。
これまで積み重ねてきた努力を無駄にしないためにも、不正行為に手を出すリスクは避けるべきです。正しい方法で取り組むことが、最終的に自分のキャリアを守ることにつながります。
就活全体に影響が出る
ある企業の玉手箱で不正が発覚した場合、企業から玉手箱の運営会社に連絡が行き、企業間で共有される「ブラックリスト」に名前が登録されることがあります。
一度でもこのリストに載ってしまうと、玉手箱の受検が今後一切できなくなってしまい、他の企業でも応募段階で選考対象から自動的に外されることが考えられます。
玉手箱は多くの企業の選考で使われており、安易な気持ちで行った不正が、就活全体に深刻な影響を及ぼしかねないことを心に留めておきましょう。
大学の後輩にも影響が出る
Webテスト代行業者を利用した学生が不正行為で摘発された場合、大学自体にネガティブなイメージが付き、後輩たちに悪影響が及ぶ恐れがあります。
特に、大学と企業の信頼関係によって成り立っている大学推薦などを使った選考で不正が発覚すると、今後その大学の学生を採用する際に慎重になる傾向が強まります。
不正行為は、自分一人ではなく周囲にも影響を与える可能性があることを肝に銘じましょう。
入社後のミスマッチに繋がる
玉手箱は論理的思考力を測ることを一番の目的としていますが、これだけではありません。応募者それぞれの得意・不得意から業務の適性を判断することも、玉手箱の受検を課す目的の一つです。
そのため、不正を行った状態で受検した玉手箱を提出して選考を通過したとしても、自分の適性に合わない部署に配属されるリスクが大きくなります。また、玉手箱の優れた結果により実力以上の期待をかけられ、大きな負担となるかもしれません。
入社後に自分らしく働くためにも、自分を偽った受検は避けるべきです。
内定後にバレると内定取り消しになる
不正を行った玉手箱の選考を通過し、仮に内定を得たとしても、内定後に不正が発覚すると内定を取り消される可能性が高いです。不正は社会からの信頼を大きく損なう行為であり、社会人として決して許されるものではありません。
さらに、ひとつの企業で不正が発覚すると、その情報が玉手箱を利用している他の企業にも共有され、複数の企業で内定を取り消される事態にもなりかねません。
就活において信頼は何よりも大切な要素です。企業に胸を張って伝えられないような行動は、どんな理由があっても慎むべきです。
悪質な不正は逮捕される可能性がある
替え玉受検や代行業者の利用といった、特に悪質な不正行為は、逮捕や起訴といった重大な法的リスクを伴います。絶対に行ってはいけません。
代行業者が摘発された際には、警察や企業による調査によって依頼者の学生が実際に特定されるケースも報告されています。また、2021年には、就活中の大学生のWebテストを代行したとして男性が逮捕されました。
このように、玉手箱などWebテストの不正は明確な犯罪行為であることを心に留めましょう。
玉手箱の不正はバレるため絶対にやめよう!
各企業の選考の初期段階で求められるWebテストの一種である玉手箱は、受検時に監視の目が無いため不正が起きやすくなっています。しかし、高難易度で知られる玉手箱で不正を行うと、解答時間が極端に短かったり、正答率が平均よりも以上に高かったり、不自然な点が出てきます。
これらは企業が不正を疑う原因になるとともに、もし不正が発覚した場合は、その企業の選考だけでなく就活全体に悪影響を及ぼします。また、特に悪質な不正を行った場合は逮捕や起訴の可能性があり、就活だけでなくその後のキャリアにも大きく関わります。
玉手箱では、安易な気持ちで不正に手を出す学生も見受けられます。しかし、発覚時のリスクは想像以上に大きいことを十分に認識し、不正行為には絶対に手を出さないようにしましょう。