玉手箱の計数は、数的能力を問われる能力検査の科目のひとつです。多くの企業で実施されるため、安定して高得点を取れるようにしておきたい分野になっています。
この記事では、計数の基礎や練習問題とともに、具体的な対策法を解説していきます。周りと差を付けるためのコツや公式も必見です。
「そもそも対策をどう進めたらいいのかわからない」という人に向け、イチから玉手箱対策を始める際に役立つ情報も揃っていますので、ぜひ参考にしてください。
目次
玉手箱の計数はどんな問題?
計数問題の出題傾向
玉手箱の計数問題は、「四則逆算」「図表の読み取り」「表の空欄の推測」の3種類です。Webテスト形式ではこの中から企業の選んだ1種類が出題されます。一方、テストセンター形式では必ず「図表の読み取り」が出題されることになります。
四則逆算は等式の空欄を埋める問題で、計算速度が重視されます。50問を9分で解く必要があり、じっくり悩む時間はありません。
計算内容は簡単なものが多いですが、中には桁数が多い数値や、小数・分数の計算などもあります。
図表の読み取りは、表やグラフの数値を見て問いに答える問題です。29問を15分で解く形式と、40問を35分で解く形式に分かれています。
よくある問いは「合計」「増加率」「割合」を求めるもので、どれも大まかな数値がわかれば答えられるようになっています。しかし、解答に不要な数値も多く含まれており、素早く見分ける力が必要です。
表の空欄の推測は、一部だけ空欄になっている表やグラフが提示され、空欄の数値を推測する問題です。20問を20分、または35問を35分で解く形式で出題されます
四則逆算や図表の読み取りとは異なり、この問題では明確な答えが求められません。あくまでおおよその数値を「推測」して、一番近いものを選択肢から選ぶ形です。そのため、計算が得意な人でもつまづきやすいです。
難易度は高め
計数は、玉手箱の中でも特に点数が低くなりやすい問題です。大学受験の数学とは異なる能力が求められるため、対策は必須です。
問題自体は中学~高校の知識で十分に解けるようになっており、「考えてもわからない」ということはほぼありません。しかし、どれも時間制限が短めであり、よく考える時間がないという点が難易度を上げています。
苦手としている人も多い分野ですが、最低でも5割の点数を取らなければ選考通過は難しいでしょう。
制限時間から内容を見分けられる
出題内容 | 問題数と制限時間 |
四則逆算 | 50問/9分 |
図表の読み取り | 29問/15分 または40問/35分 |
表の空欄の推測 | 20問/20分 または35問/35分 |
玉手箱は、検査の開始前に制限時間と問題数が提示されます。計数には時間と問題数が同じ問題はないため、そこで3種類のうちどれなのかを確実に判別できます。
開始前に出題内容がわかっていれば、解き方のパターンなどを思い出してから解答することが可能です。検査が始まってから思い出している時間はないので、積極的に活用したいテクニックです。
また、開始前の画面になっても、すぐに始める必要はありません。対策に使ったノートや参考書などを見返してから始めれば、焦らずに問題に取り組めるでしょう。
玉手箱の計数問題の攻略法
「四則逆算」の攻略
【 】に入る数値として正しいものを、選択肢の中から1つ選びなさい。
【設問1】
【選択肢】
A: 9432
B: 11642
C: 534
D: 3016
E: 12862
【設問2】
【選択肢】
A: 0.02
B: 0.2
C: 2
D: 20
E: 200
【設問1】
解答: B
・・・①
・・・②
①4313を右辺に移す(+4313に変わる)
②電卓で計算する
【設問2】
解答: D
・・・①
・・・②
①0.004を右辺に移す
②左から順に電卓で計算する
四則逆算では、複雑な計算は求められません。移項や分数の計算などの基礎知識があれば十分に解ける内容になっています。
そのかわり、時間制限は非常に厳しいため、途中式や筆算なしでも素早く計算できることが求められます。多くの問題では移項をして計算する内容になっており、頭の中で計算式を組み立てる力も必要です。
四則逆算の練習には、簡単な計算問題であれば何でも使えます。等式の数字を適当に入れ替えて、ちょうどいい難易度の問題を作ることも可能です。
知識よりも慣れと瞬発力が重要なため、とにかく計算力を鍛えることが高得点への近道です。
「図表の読み取り」の攻略
図表を見て次の問いに答えなさい。
出典:令和5年「情報通信に関する現状報告」|総務省
パーソナルデータ提供へとても不安を感じると答えた米国人の割合は、全く不安を感じないと答えた米国人の何倍か。最も近いものを、以下の選択肢の中から1つ選びなさい。
【選択肢】
A: 1.0倍
B: 1.3倍
C: 1.6倍
D: 1.8倍
E: 1.9倍
解答: D
割合をそのまま比較する。
米国のグラフで「とても不安を感じると答えた人の割合 ÷ 全く不安を感じないと答えた人の割合」で、倍率を求める。
31.2 ÷ 17.6 = 1.77... ≒ 1.8(倍)
↑選択肢は、いずれも小数点以下第1位であるため、第2位まで求めて四捨五入する。
図表の読み取りでは、様々な形式の表やグラフが提示されます。見慣れない形式の図表を素早く読み取るのは難しいため、なるべく多くの問題に触れておきましょう。
問いは2つの項目の比較や、複数項目の合計を求めるものが多いです。解答に必要な数値は2~3個程度であり、その他の数値は見る必要がありません。
タイムロスを防ぐためには、図表より先に問題文を読んでおくことが有効です。「問われている数値だけを探す」という意識で図表を読み取ると、効率的に解答できます。
なお、解答は「最も近いもの」を選択肢から選ぶ形式のため、厳密に計算をしなくても答えられます。概算である程度の数値を導き、それに近い選択肢を選ぶことで時短することが可能です。
「表の空欄の推測」の攻略
下表はある電力会社のソーラー発電の発電量に関する表である。?に推測される値は?
- 1. 20491
- 2. 20763
- 3. 21198
- 4. 21571
- 5. 21824
(発電量)=(ソーラーパネル数)×(日照率)×(比例定数)と推測できる。比例定数は各値代入するとおよそ1280と算出される。
よって、31×0.55×1280=21824
表の空欄の推測は、図表の空欄に入るおおよその数値を求める問題です。明確な計算式や答えが出せないため、計数の中でも特に苦戦しやすくなっています。
空欄の求め方には、ある程度のパターンが存在します。特に、「別の項目との比例・反比例」「合計に対する一定の割合」などの関係から推測できるケースが多いです。
練習問題を解き、空欄の求め方のパターンを分析してみると、理解力が高まります。答えを求めるのに計算力はほとんど要求されないので、問題の知識を身に着けることに注力すると効果的です。
計数で差を付ける対策のコツ
時間配分を考える
制限時間の厳しい玉手箱では、時間配分を事前に決めておくことが大切です。「〇秒悩んだら次の問題へ進む」など、自分なりのルールがあると安定感が増します。
ただし、計数は出題内容によって1問にかけられる時間が異なります。表の空欄の推測は1分程度かけられますが、四則逆算では10秒程度しかありません。考える時間や計算する時間にどう割り振るのかまで、必ず決めておきましょう。
時間配分を覚えるためには、時間を測りながら様々な解き方で練習してみましょう。タイマーがなくても適切なペースで解けるようになると、一気に高得点に近付きます。
電卓よりも電子計算機があると便利!
Webテスト形式の計数では電卓が使用できます。100均などの電卓よりも、様々な機能を搭載した電子計算機を使うのがおすすめです。
「カッコの使用」「分数の計算」「計算結果の保存」といった機能があれば、計算をより効率的に行えます。計算時間を短縮できるだけでなく、計算ミスの予防にも繋がります。
ただし、便利機能は上手く使いこなせないと逆にタイムロスをしてしまう可能性があります。本番でいきなり使うのではなく、練習の時から機能を意識して使うようにしましょう。
自分が暗算できる桁数を把握しておく
計数では暗算と電卓を上手く使い分ける必要があります。暗算した方が早い問題も電卓で計算していると、時間が不足してしまいます。
しかし、暗算できると思って計算を始めて、「やっぱり電卓でやった方が早かった」と気付くのは一番もったいないミスです。
そのため、自分がどの程度までの計算量なら暗算できるのかを把握しておくことが大切です。暗算と電卓の使い分けを瞬時に判断できれば、解答を考える余裕も大きくなります。
玉手箱の計数で役立つ公式一覧
四則逆算で役立つ公式の例
①移項
「A-B=C」は「A=C+B」にできる
②逆操作
「A×B=C」は「A=C÷B」にできる
四則逆算を解く上で、移項と逆操作の知識は必須です。無理やり解くことも可能ではありますが、時間を考えると現実的ではありません。
移項は、一辺に含まれる項(数値)を、正負の符号を反対にして他の辺に移動させる方法です。片方の辺に空欄だけを残し、もう片方の辺で実数値を整理するのが最も基本的な使い方です。
一方、逆操作は掛け算と割り算を含む式を整理するための方法です。「×Aを消すなら両辺をAで割る」「÷Aを消すなら両辺にAを掛ける」と覚えましょう。
また、逆操作で項を少なくした式を、さらに移項で整理するという問題も出題されます。頭の中でスムーズに式を整理できるように練習しておきましょう。
図表問題で役立つ公式の例
①倍率
「AはBの何倍か」を求める式は
「A÷B」
②割合
「AはBの何%か」を求める式は
「A÷B×100」
③増加率・減少率
「AからBへの増加率(減少率)」を求める式は
「(B-A)÷A×100」
図表問題では、2つの項目を比較するような計算が多いです。その中でも、正しい求め方をわかっていないと失敗しやすいのが「倍率」「割合」「増加率(減少率)」の3つです。
倍率は、「比較先の数値」を「比較元の数値」で割ることにより求められます。選択肢に「〇倍」とある場合は、倍率を求める問題だと判断できます。
次に、割合は倍率に100を掛けることで求められます。単位は%ですが、増加率(減少率)も同様の単位のため、選択肢だけで判別することはできません。
一方、増加率(減少率)の求め方はやや複雑です。「変化後の数値-変化前の数値」を、さらに「変化前の数値」で割り、最後に100を掛けることで求められます。
例えば、「20から30に増加した」という場合の増加率は、「(30-20)÷20×100」=50%と求められます。もとの数値を100%とした上で、「さらに何%増えたのか」という考え方が有効です。
玉手箱の計数のおすすめ対策法4選
基礎から学ぶなら対策本
玉手箱に初めて挑む場合は、まず対策本を使って対策を始めるのがおすすめです。問題の基礎だけでなく、解くための知識なども簡単なレベルから解説されています。
玉手箱の問題を再現した練習問題が載っている対策本も多く、しっかり使い込めば1冊だけで対策を終わらせられます。
なお、対策本は種類によって分野別の解説量や問題量が異なります。計数を重点的に対策したい場合、計数問題を多く掲載しているものを選ぶと良いでしょう。
隙間時間で練習できる対策アプリ
玉手箱の対策アプリを使えば、まとまった時間がなくてもこまめに対策を進められます。
計数はPCで受ける前提の問題なため、練習もスマホ1つだけでこなせる内容になっています。
ただし、全ての対策をアプリに頼るのは危険です。対策本と比べると問題数や解説量に差があり、知識が偏るおそれがあります。
落ち着いて勉強する時間は別で作りつつ、隙間時間でさらに伸ばすためにアプリを活用するようにしましょう。
数をこなしたいなら練習問題サイト
計数は全体的に慣れが重要な分野です。解説を見ただけでは不安という人は、練習問題サイトを利用して多くの問題に触れましょう。
玉手箱はSPIと比べると練習問題は少ないものの、以下のページなどで練習することができます。また、その他の適性検査の類似問題も練習に使えるでしょう。
- ・ 一般常識一問一答.com
- ・ 大人塾
玉手箱の計数が重視されやすいケースは?
IT系や金融系などの場合
IT系や金融系の「数的能力」が重視される企業では、計数の点数は重要です。他の点数が高くても、計数の結果が悪いと選考通過は厳しいでしょう。
計数問題を解くためには、単純な計算力だけでなく、問題を素早く読み取る力も求められます。こうした能力は数字を扱う様々な業務に応用できるため、重視されやすくなっているのです。
当然ですが、計数が重視される企業でも言語や英語を捨てていいわけではありません。バランス良く点数を取りつつ、計数で好成績を残せるように勉強しましょう。
出題分野が少ない場合
「言語・計数」のみといった出題形式の場合、計数の点数を落とすのは致命的です。他の分野で多少は補えるものの、4~5割を切っている結果はマイナスに響きます。
また、「計数・性格」という出題形式の場合は、能力検査が計数しかありません。能力検査の結果を性格検査で補うことは非常に難しいため、重要度も高めになります。
能力検査の結果が悪くても通過できることはありますが、その後に企業独自の試験を行う可能性が高いです。
毎年同じ問題が出題されている場合
過去の出題傾向は、就活サイトなどに掲載されています。数年にわたって計数が出題されている場合、企業が重視しているのだと判断できます。
ただし、過去の玉手箱の実施状況は公表されないことが通常です。就活サイトの情報が正しいとは限らないので、1つの目安として用いるようにしましょう。
信憑性の高い情報を見つけるためには、複数のサイトで情報収集してみることがおすすめです。同じ情報が様々な人から寄せられているようであれば、ある程度信頼してもいい情報といえます。
計数はパターンの把握と時間配分が高得点のカギ!
玉手箱の計数では、問題パターンと時間配分の知識で点数に差がつきます。数学の問題とは異なる独特な問題であるため、ただ計算に自信があるだけでは高得点を取れません。
「どんな計算が必要なのか」「どんな図表が提示されるのか」を理解しておけば、検査を有利に進められます。
3種類の内容ごとの問題パターンを覚え、自分に合ったペースで解答できるように対策を行いましょう。焦らずに取り組むことができれば、自然と結果もついてきます。