玉手箱の計数問題では、制限時間が短く計算速度が求められます。暗算やメモだけでは計算時間が足りなくなるケースが発生してしまうため、電卓を使用したいと考える方も多いはず。
そこで、この記事では玉手箱で電卓を使える形式・使えない形式の違いを詳しく解説します。
また、計数問題の基本的な解き方や、電卓を上手に活用するコツも紹介しています。電卓の扱いに慣れ、細かい部分で差を付けていきましょう。
目次
玉手箱で電卓は使える?
Webテスト形式は電卓を使用可能
Webテスト形式の玉手箱では、電卓を使用できます。カメラなどによる受検者の監視が行われないため、電卓以外にメモを使っていても問題ありません。
Webテストの計数問題は、電卓やメモを使うことを前提とした難易度になっています。そのため、電卓を用意しておくことで問題を有利に進められるでしょう。
なお、スマホの電卓アプリなどの代替手段は、実際の電卓よりも使いにくいことが多いです。PCソフトは比較的使いやすいですが、不正行為としてシステムに検知されるおそれがあります。
なるべく実物の電卓を用意しておくことで、思わぬトラブルを予防できるでしょう。
テストセンター形式は持ち込み禁止
実際の会場に行って受検するテストセンター形式では、電卓も含めて物品の持ち込みが全て禁止されています。テストセンターであっても受検はPCで行うため、筆記用具も使用できません。
会場には必ず監督者がいるため、バレないように持ち込むことは不可能です。さらに、会場のPCも不正防止のために無関係なソフトは起動できなくなっています。
ただし、電卓が使えない分、問題は電卓なしでも解ける内容になっています。テストセンター形式の計数では「図表の読み取り」のみ出題されるため、計算の速度や精度はそれほど重視されません。
電卓が使えるWebテスト形式の出題内容
分野 | 出題内容 |
言語 | ・論理的読解 ・趣旨判定 ・趣旨把握 |
計数 | ・四則逆算 ・図表の読み取り ・表の空欄の推測 |
英語 | ・論理的読解 ・長文読解 |
性格 | ・パーソナリティ ・意欲 |
電卓が使えるWebテスト形式の玉手箱では、「言語3種類」「計数3種類」「英語2種類」「性格検査」が出題範囲となっています。
能力検査にあたる言語・計数・英語からは、表の問題形式の中から出題内容が1つずつ選ばれて出題されます。複数の内容が出題されることはありません。
計数の中でも「四則逆算」は特に電卓が重要で、暗算だけでは高得点を狙うことは難しいです。他の2つの出題内容についても、電卓で計算した方がより正確に答えを導き出せるでしょう。
また、Webテスト形式では企業が出題内容をカスタマイズできるため、例えば「言語・性格検査のみ」など、一部の分野が実施されないこともあります。
ただし、こうした内容に関する通達は行われないことが一般的です。出題しないと思っていた問題を出されて点を落とさないためにも、幅広く対策しておくことをおすすめします。
電卓が使えないテストセンター形式の出題内容
分野 | 出題内容 |
言語 | ・論理的読解 |
計数 | ・図表の読み取り |
英語 | ・論理的読解 |
性格 | ・パーソナリティ ・意欲 |
テストセンター形式の玉手箱では、決まった問題しか出題されません。テストセンターでの受検を案内された場合、能力検査は出題される問題だけを重点的に対策すると良いでしょう。
Webテスト形式より対策はしやすいですが、難易度に変わりはありません。監視の目もある中で受けることになるので、プレッシャーを感じてパフォーマンスを発揮できないこともあります。
そのため、なるべく自信を持って本番に臨めるように、油断せず対策を積んでおくことが大切です。
【種類別】玉手箱の計数の例題
四則逆算
<例題>
【 】に入る数値として正しいものを、選択肢の中から1つ選びなさい。
【設問1】
【選択肢】
A:
B:
C:
D:
E:
【設問2】
【選択肢】
A:
B:
C:
D:
E:
【設問1】
解答:D
・・・①
・・・②
①0.004を右辺に移す
②左から順に電卓で計算する
【設問2】
解答:E
選択肢が全て整数のため、計算式を整数にした後に電卓で計算する。
・・・①
・・・②
・・・②
・・・④
①「」を「×15」、「」を「×3」に変形する。
②左右の式を入れ替える
③3を右辺に移す、を 3÷5(分子÷分母の式)にする
④右辺を、電卓で左から順に計算
四則逆算では、等式の空欄に当てはまる数字を選択肢から選びます。50問を9分で解いていくため、じっくり考える時間はありません。
数値は整数だけでなく小数や分数、%も使われるので、暗算だけで解くのは厳しいでしょう。電卓に数値を素早く打ち込み、効率的に解いていくことが重要です。
四則逆算は他の2つの問題とは異なり、「近いもの」を選ぶ形式ではありません。桁の間違いなどに注意して、正確に計算する必要があります。
図表の読み取り
平成7年度の1人1日当たりのごみ排出量は、昭和60年度の1人1日当たりのごみ排出量と比べておよそ何%増加したか。最も近いものを、以下の選択肢の中から1つ選びなさい。
【選択肢】
A: 12.1%
B: 12.6%
C: 13.2%
D: 14.9%
E: 16.7%
- A: 12.1%
1人1日当たりのごみ排出量について、「平成7年度の数 ÷ 昭和60年度の数 - 1」で増加率を求める。
1,105 ÷ 986 - 1 = 0.1206... ≒ 12.1%(増加)d
図表の読み取りは、提示された図表の数値を見て、大小や増加率・合計などを答えていく問題です。29問を15分、または40問を35分で回答します。
どの図表も多くの数値が並びますが、問題を解くのに必要な数値は3~4個ほどしかない場合が多いです。問題文から必要なデータを割り出し、その部分だけに着目して解いていくことがポイントとなります。
テストセンター形式の場合は、この問題内容を電卓なしで解くことになります。答えは「最も近いもの」を選ぶ形なので、細かい数値まで正確に求める必要はありません。
Webテスト形式で電卓が使える場合でも、簡単な数値であれば暗算で済ませることで、時短に繋がるでしょう。
表の空欄の推測
以下の表は、ある宿泊施設における1か月の稼働状況です。1部屋あたりの料金は固定で、E施設の収益はC施設と同じ稼働率(稼働数/総部屋数)だったと仮定して、E施設の稼働数を推測してください。
設問:E施設の稼働数は?
【選択肢】
A: 70室
B: 75室
C: 80室
D: 85室
E: 90室
解答: D
C施設の稼働率= 72÷90=0.8(80%)
E施設の総部屋数 100×0.8=80室
→ 80×11,000=880,000円=88万円
しかし、月間売上は264万円
→ 264万円÷11,000円=2400泊/月
→ 1日平均稼働数=2400÷30=80室
ただし、売上には連泊割引が適用されたと仮定して少し多めの稼働数
最も自然な推定「85室」が正しい。
表の空欄の推測は、図表の中にある空欄に当てはまる数値を、他の数値から推測する問題です。20問を20分、または35問を35分で回答します。
はっきりとした答えがなく、あくまで「推測」で答えを出す必要があります。他の計数問題との違いから、苦手意識のある方も多いです。
解き方にはある程度のパターンがあり、練習問題を繰り返して慣れることが重要です。
1問あたりにかけられる時間は、計数の中では一番長いですが、それでも1問1分程度のペースで解く必要があります。最初に回答の手がかりを掴むことができないと、時間のロスに繋がるでしょう。
玉手箱で上手に電卓を活用するコツ
暗算と電卓を使い分ける
計数問題では何度も計算を行うことになります。しかし、全ての問題で電卓を使用してしまうと、かえって時間が足りなくなってしまいます。
「3桁以上の掛け算・割り算」「%や小数の計算」には電卓を使う、「3桁までの計算」「分数の計算」は暗算で行うといった使い分けのルールを決めておくのがおすすめです。
また、出題内容によって、電卓を使う優先度を決めておくのも一つの手です。四則逆算と図表の読み取りは正確な数値が出せるため、電卓をメインに計算すれば誤答をしにくくなります。
一方、表の空欄の推測はおおよその数値しか求められず、暗算で目安だけを計算した方が早いことも多いです。こうした傾向に合わせて判断できると、より効率的に解答できるでしょう。
時短に繋がる便利機能を覚える
電卓は種類によって様々な機能が搭載されています。%や小数の計算はほとんどの電卓で使えますが、それ以外にもカッコの使用や計算結果の保存ができる機種もあります。
こうした機能を上手く活用することで、計算時間を短縮できたり、複数の数値を扱いやすくなります。
玉手箱では、問題を考える時間以外についても時短を意識することが必要です。どのタイプの問題に何の機能が役立つのかを、一度考えてみると良いでしょう。
勉強中にも電卓を使って慣れておく
普段使っていない電卓を本番でいきなり使っても、素早く操作することは難しいでしょう。入力ミスがあれば失点にも直結します。
そのため、勉強中にも電卓を使っておき、操作に慣れておくことが大切です。
また、様々な計算に電卓を使っていれば、「電卓の方が早い計算」と「暗算の方が早い計算」を体感で区別できるようにもなるでしょう。
玉手箱の計数で高得点を狙う対策法
3種類の出題傾向を理解する
計数問題の出題内容は3つですが、それぞれ解く時のポイントは大きく異なります。問題の出題傾向や解き方のパターンを理解しておけば、本番でもスムーズに回答を進められるでしょう。
検査が始まってすぐに「何の問題か」「どういう解き方が適しているか」が判断できれば、より高得点が狙いやすくなります。
計数は制限時間から出題内容を判断できるため、それぞれ覚えておくと良いでしょう。
時間配分を意識して練習する
計数に限らず、玉手箱は全体的に時間制限の厳しい検査です。ただ正確に解くだけでは、すぐに時間切れになってしまいます。解答が間に合わなかった問題は全て不正解として扱われるため、高得点を取るのは難しくなるでしょう。
そのため、勉強の段階からタイマーなどを使って回答時間を確認しておきましょう。どんな時間配分が適切なのか確かめながら練習することが重要です。
また、問題数と制限時間から大まかな配分は計算できますが、実際にその通りに解くことは難しいです。
「〇秒を超えたら飛ばす」「図表は〇秒以内に読み取る」など、自分なりに時間配分のルールを決めておくと、焦ることなく回答できるでしょう。
割合や%を求める公式は必須
・比べられる量÷もとにする量=割合
・割合×100=パーセント(%)
計数では、どの出題内容でも割合や%を用いる問題が含まれています。四則演算とは違い、割合と%は正しい公式を理解していないとまず答えられません。
本番では自力で公式を考える時間はないため、基礎的な公式だけでも覚えておくようにしましょう。
この他にも「増加率」「比」「比例・反比例」は頻出で、割合や%と同様に知識が求められます。基本の公式を調べておき、自分の理解が間違っていないか確認しておくことが大切です。
苦手な問題は克服するまで繰り返す
玉手箱では、複数の出題内容から1つだけが選ばれて出題されます。そのため、苦手な種類の問題があると、それが出題された時に満足な点を取ることができません。
対策の際には山を張るのではなく、苦手分野をなくしていくことを意識して勉強を進めましょう。
何が苦手なのかわからない場合は、何個か問題を連続で解き、時間と正答率を測ってみると良いでしょう。「難しくて答えられない」だけでなく、「時間がかかりすぎる」といった弱点も見えてきます。
どの問題でも平均的に高い得点が取れるようになれば、複数企業で受検する際も安定した結果が出せます。自分の苦手分野を把握し、参考書や問題集で重点的に対策をしておきましょう。
玉手箱で使う電卓に関する質問
スマホを電卓代わりに使ってもいい?
Webテスト形式では、スマホの電卓アプリを使っても不正とみなされることはありません。ただし、あまりおすすめはできない方法です。
スマホの電卓は、実際の電卓とは違い、キーを正しく押せているのかがわかりにくいです。問題を見ながら入力するため、スマホの画面をずっと見ていることもできません。これにより、計算ミスの可能性が高くなります。
また、関係ない通知で集中力を切らされることもあります。様々なトラブルを起こしかねないため、できれば実際の電卓を使うことをおすすめします。
関数電卓など高機能の電卓は必要?
・ 計算結果の保存
・ カッコの計算
・ 1文字ずつの削除
・ 小数点の切り捨て
・ 四捨五入
高機能の電卓では、通常の電卓よりも柔軟に計算が行えるため、使いこなせれば有利に進められるでしょう。
玉手箱の計数では高度な計算は求められないため、時短に繋がる機能があるかどうかがポイントになります。カッコの計算や計算結果の保存は、特に使いやすい機能です。
ただし、基本の計算機能があれば困ることは少ないため、高機能の電卓は「あると嬉しい」程度のものです。必須ではないので、高額な電卓を新しく買う必要はないでしょう。
急に必要になった場合はどこで買える?
電卓を急いで用意しなければならなくなった時は、近くのコンビニやスーパーで買うことができます。新卒の方であれば、学内の購買などでも見つかるでしょう。
これらの店舗で売られている電卓は機種が限られているため、使いやすい電卓がないこともあります。手軽さは薄れますが、家電量販店であれば確実に自分に合った電卓を見つけられるでしょう。
数日の猶予がある場合は、通販のお急ぎ便を利用する手もあります。実店舗よりも様々な種類の電卓から選べるので、自分に合ったものがさらに見つけやすくなります。
玉手箱は電卓を活用すれば有利に進められる!
Webテスト形式の玉手箱では、電卓は必須です。上手く電卓を使いこなすことで計算時間が短縮でき、回答を考えるのに余裕が持てるようになるでしょう。
ただし、どの問題にも電卓を使っていると、逆に時間が足りなくなることもあります。暗算と電卓を使い分けて、効率的に計算を済ませる意識が大切です。
1問あたりの時間が少ない玉手箱では、電卓の操作時間も他の志望者と差を付ける要素になります。事前に操作に慣れておくことで、玉手箱を有利に進められるでしょう。