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論理的読解(人文系の文章)- 問題2

問題

次の文章を読み、設問1つ1つについてA・B・Cのいづれに当てはまるか答えなさい。

 知識の伝達手段としての「書物」は、デジタル技術の台頭により、その存在意義を問われている。しかし、書物の本質的な価値を理解するためには、それが単なる情報伝達の手段ではなく、人類の思考様式そのものを形作ってきた媒体であることを認識する必要がある。
 書物という形態は、人間の思考に独特の時間性をもたらした。文字を追って左から右へ、あるいは上から下へと読み進めていく行為は、論理的思考の基盤となる直線的な時間認識を強化する。これは、口承文化における循環的な時間認識とは本質的に異なる。音声による伝達は、その場限りの一回性を持ち、反復可能であっても完全な同一性は保証されない。一方、書物は同一の内容を何度でも参照することを可能にし、それによって批判的思考や分析的な読解を促進した。
 また、書物は「沈黙の文化」を生み出した。音声による伝達が必然的に他者との関係性を前提とするのに対し、書物を介した知識の獲得は個人的な営みとなる。この変化は、近代的な個人の誕生と密接に結びついている。読書という行為を通じて、人々は他者から独立した思考空間を確保し、自己と対話する術を身につけた。これは、デカルトに代表される近代的な主体性の確立にも大きな影響を与えたとされる。
 ただし、こうした書物の特質は、必ずしもデジタルメディアと対立するものではない。むしろ、現代のデジタル技術は書物が築いた思考様式を前提としながら、新たな可能性を模索していると見るべきだろう。確かにデジタル技術は、ハイパーテキストのような非線形的な読解を可能にし、また社会的な読書体験を提供することで、書物がもたらした「個」の文化に一定の変更を迫っている。しかし、そこで起きているのは書物の否定ではなく、書物文化の新たな展開だと理解すべきである。
  • A. 本文から論理的に考えて、設問文は明らかに正しい。
  • B. 本文から論理的に考えて、設問文は明らかに間違っている。
  • C. 本文の内容だけからでは、設問文が正しいか間違っているかは判断できない。

設問

1. デジタル技術は、書物がもたらした直線的な読解方法を完全に無効化している。
2. 書物の社会的影響力は、グローバル化の進展により急速に低下している。
3. 書物による知識伝達の特性は、近代的な個人の主体性の形成と密接に関連している。
4. 口承文化における知識伝達は、完全な同一性を持って反復される。

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author-icon編集者Yuka
2021年7月に入社し、CareerMineをはじめとする就活メディアの編集を手掛ける。 以前は広告代理店でメディアプランナーとして、広告やキャンペーンの企画を担当。 『SPI対策問題集』では掲載している記事のチェック、編集、ライター管理、コンテンツ制作などを行ってる。また自身もライターとして記事執筆も担当。
author-icon監修者gen
1990年生まれ。大学卒業後、東証一部上場のメーカーに入社。その後サイバーエージェントにて広告代理事業に従事。 現在はサイバーエージェントで培ったWEBマーケの知見を活かしつつ、CareerMineの責任者として就活生に役立つ情報を発信している。 また自身の経験を活かし、学生への就職アドバイスを行っている。延べ1,000人以上の学生と面談を行い、さまざまな企業への内定に導いている。
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