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論理的読解(人文系の文章)- 問題4

問題

次の文章を読み、設問1つ1つについてA・B・Cのいづれに当てはまるか答えなさい。

人間の感情は、長らく「普遍的」で「生物学的」なものとして理解されてきた。喜怒哀楽は、文化や社会を超えて同じように経験されるものだと考えられていた。しかし、近年の文化人類学や認知科学の研究は、感情の理解と表現が、実は深く文化的な文脈に依存していることを明らかにしつつある。
感情の文化相対性を示す興味深い例として、日本語の「甘え」や、アラビア語の「ハンナ」、フィンランド語の「カイプッ」のような、他言語に簡単に翻訳できない感情概念がある。これらの感情は、単なる心理的状態ではなく、その社会の人間関係の構造、価値観、歴史的文脈と深く結びついている。例えば、日本の「甘え」は、西洋的な心理学の枠組みでは捉えきれない、依存と受容に関する独特の感情的な了解を示している。
感情の文化的構築性は、感情表現の多様性にも現れる。西洋文化圏では感情は主に個人的な内面の問題として捉えられるのに対し、多くのアジアや太平洋の文化では、感情は社会的関係性の中で理解される。例えば、ある文化では恥は個人的な感情ではなく、家族や共同体全体に関わる社会的な現象として認識される。このような違いは、感情が単なる生理的反応ではなく、社会的に学習され、形成されるプロセスであることを示唆している。
しかし、感情の文化的相対性を強調することは、感情の生物学的基盤を完全に否定することを意味するわけではない。むしろ、現代の研究は、普遍的な感情の生理的反応と、文化的に形作られる感情の解釈と表現の間の複雑な相互作用を明らかにしつつある。脳科学の知見は、基本的な感情反応の神経学的メカニズムの普遍性を示す一方で、その感情がどのように理解され、表現されるかは文化によって大きく異なることを示している。
  • A. 本文から論理的に考えて、設問文は明らかに正しい。
  • B. 本文から論理的に考えて、設問文は明らかに間違っている。
  • C. 本文の内容だけからでは、設問文が正しいか間違っているかは判断できない。

設問

1. 感情研究における文化人類学と認知科学のアプローチは、感情を単一の視点から理解することの限界を示している。
2. 非西洋社会における感情概念の独自性は、その社会の文化的構造と無関係である。
3. 感情の生物学的基盤と文化的解釈の関係は、単純な二項対立では説明できない複雑な相互作用を持つ。
4. 言語に特有の感情概念は、グローバル化によって徐々に均質化している。

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author-icon編集者Yuka
2021年7月に入社し、CareerMineをはじめとする就活メディアの編集を手掛ける。 以前は広告代理店でメディアプランナーとして、広告やキャンペーンの企画を担当。 『SPI対策問題集』では掲載している記事のチェック、編集、ライター管理、コンテンツ制作などを行ってる。また自身もライターとして記事執筆も担当。
author-icon監修者gen
1990年生まれ。大学卒業後、東証一部上場のメーカーに入社。その後サイバーエージェントにて広告代理事業に従事。 現在はサイバーエージェントで培ったWEBマーケの知見を活かしつつ、CareerMineの責任者として就活生に役立つ情報を発信している。 また自身の経験を活かし、学生への就職アドバイスを行っている。延べ1,000人以上の学生と面談を行い、さまざまな企業への内定に導いている。
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