SPIは「熟語の成り立ち」で得点アップ!頻出パターンを押さえて点数を稼ごう
目次
SPI言語における熟語の成り立ち頻出一覧
- 似た意味を持つ漢字の重なり
- 反対の意味を持つ漢字の重なり
- 主語と述語の関係にある二語
- 動詞の後に目的語がくる語
- 前の漢字が後の漢字を修飾する語
SPIの言語問題では、「熟語の成り立ち」に関する問題が頻出します。特に「2つの漢字の関係性」を問う形式が多く、意味を理解したうえで構造を見抜くことが求められます。
対策としては、よく出題されるパターンを押さえておくことが重要です。
この段落では、SPIでよく問われる熟語の成り立ちパターンを熟語の例を挙げながらわかりやすく解説します。
パターン1:似た意味を持つ
熟語 | 構成漢字の意味 | 熟語の意味 |
安穏(あんのん) | 安らか+穏やか | 心が落ち着いていて静かなこと |
永久(えいきゅう) | 永い+久しい | 非常に長い時間、終わりがないこと |
隠蔽(いんペい) | 隠す+覆い隠す | 見えないように隠すこと |
恩恵(おんけい) | 恩(ありがたみ)+恵み | めぐみ。ありがたい利益を受けること |
温暖(おんだん) | 温かい+暖かい | 気候や雰囲気が穏やかで暖かいこと |
幸福(こうふく) | 幸せ+福 | 心が満たされて幸せであること |
絵画(かいが) | 絵+画 | 芸術として描かれた絵全般 |
増加(ぞうか) | 増える+加わる | 数や量が増えること |
堅固(けんご) | 堅い+固い | しっかりしていて壊れにくいこと |
悲哀(ひあい) | 悲しい+哀しい | 深い悲しみの感情 |
このタイプでは、2つの漢字がほぼ同じ意味を持ち、意味を強め合うように構成されています。
例えば、「慎重」は、「慎む(注意深くする)」と「重んじる(軽々しくしない)」という似た意味の漢字が合わさった熟語です。他にも、「激怒(激しく+怒る)」や「探究(探る+究める)」などがこれに当てはまります。
見分け方としては、どちらの漢字もポジティブまたはネガティブな意味を持ち、意味の重なりが感じられるかどうかを確認しましょう。
似た意味を持つ漢字が組み合わさっているため、推測がしやすく、初見でも解きやすいのが特徴です。
パターン2:反対の意味を持つ
熟語 | 構成漢字の意味 | 熟語の意味 |
出入(しゅつにゅう) | 出る + 入る | 出たり入ったりすること。人や物の移動。 |
開閉(かいへい) | 開く + 閉じる | 開けたり閉めたりすること。ドアや窓などに使用。 |
上下(じょうげ) | 上がる + 下がる | 高低・立場・位置などの対比。 |
多少(たしょう) | 多い + 少ない | 少しばかり、ある程度。数量の幅を表す。 |
強弱(きょうじゃく) | 強い + 弱い | 力や程度の差。 |
明暗(めいあん) | 明るい + 暗い | 光の有無、比喩的に「良し悪し」も含む。 |
有無(うむ) | 有る + 無い | 存在の有無を問うときに使う。 |
高低(こうてい) | 高い + 低い | 地形、音、温度などの差を表す。 |
賛否(さんぴ) | 賛成 + 反対 | 意見が分かれるときの2極。 |
進退(しんたい) | 進む + 退く | 行動するか、引くかの判断・身の処し方。 |
反対の意味を持つ熟語は、意味の異なる漢字を組み合わせることで、両者の関係性や状態の幅を表現するものです。一見対立する意味の漢字が組み合わさることで、動きや変化、対比などの概念を表すことができます。
これらの熟語は、漢字の意味を正しく理解していれば文脈の中でも推測しやすく、暗記よりも構造の理解が鍵になります。対義的な漢字の組み合わせパターンを押さえておきましょう。
パターン3:主語と述語の関係
熟語 | 構成漢字の意味 | 熟語の意味 |
火災(かさい) | 火が災いを起こす | 火が原因で災害になる |
地震(じしん) | 地が震える | 地面が揺れる現象 |
戦死(せんし) | 戦(いくさ)が死をもたらす | 戦争で亡くなること |
雨漏り(あまもり) | 雨が漏る | 雨が建物の中にしみ込む |
風化(ふうか) | 風が化ける(変化を起こす) | 風によって形や性質が変わる |
病死(びょうし) | 病が死を招く | 病気で亡くなること |
雪崩(なだれ) | 雪が崩れる | 山の雪が崩れ落ちる現象 |
雷鳴(らいめい) | 雷が鳴る | 雷が音を立てること |
火傷(やけど) | 火が傷を作る | 火によって肌が傷つくこと |
汗集(あせしゅう) | 汗が臭う | 汗がにおいの原因になる |
これは、1文字目が「誰が(何が)」にあたる主語的な漢字で、2文字目がその「どうする・どうなる」にあたる述語的な漢字という構造です。
熟語の中に主語と動作の関係が含まれています。この関係性を理解することで、知らない熟語でも意味の推測がしやすくなります。
上の表のように、前の漢字と後の漢字の間に「が」を入れて文章を作った時に違和感がないかで見ると判断しやすくなります。
単に漢字の意味を知るだけでなく、どのような文法の関係で成り立っているかを意識しましょう。
パターン4:動詞の後に目的語を置く
熟語 | 構成漢字の意味 | 熟語の意味 |
愛国(あいこく) | 国を愛する | 国に対して愛情を持つ |
操縦(そうじゅう) | 縦(機体など)を操る | 機械や乗り物を動かす |
募金(ぼきん) | 金を募る | お金を集めること |
読書(どくしょ) | 書を読む | 本を読む行為 |
学習(がくしゅう) | 習いごとを学ぶ | 勉強すること |
掃除(そうじ) | 地(場所)を掃く・片づける | 部屋や場所をきれいにすること |
建設(けんせつ) | 設(建物)を建てる | 建物などをつくること |
分析(ぶんせき) | 析(内容)を分けて考える | 物事を細かく調べること |
説明(せつめい) | 明らかにすることを説く | 内容をわかりやすく話すこと |
指摘(してき) | 過ちなどを指して摘む | 問題点を挙げること |
「動詞+目的語」の関係で成り立つ熟語は、1文字目が動作(述語)を示し、2文字目がその対象(目的語)を表すものです。
例えば、「読書」は「書を読む」、「建設」は「設(建物)を建てる」、「募金」は「金を募る」という構造です。このような熟語では、間に「を」を入れると自然な文になります。
判断のポイントは、「~を」の形にしてみて文になるかどうか。「何を〜する?」と置き換えて確認すると、構造が明確になります。
パターン5:前が後を修飾する
熟語 | 構成漢字の意味 | 熟語の意味 |
高速(こうそく) | 速度が速い | 非常に速いこと、スピードが速いこと |
白髪(しらが) | 白い髪 | 白くなった髪の毛、老化などによる変化 |
新茶(しんちゃ) | 新しいお茶 | その年に初めて摘まれた新しい茶葉 |
古書(こしょ) | 古い本 | 古くて価値のある本、古本 |
重病(じゅうびょう) | 重い病気 | 命に関わるような深刻な病気 |
軽食(けいしょく) | 軽い食事 | 簡単で量の少ない食事 |
長文(ちょうぶん) | 長い文章 | 長く書かれた文章、読解に時間がかかる文章 |
短編(たんぺん) | 短い作品 | 短い物語、小説、映画などの作品 |
青空(あおぞら) | 青い空 | 雲の少ない晴れた空 |
高山(こうざん) | 高い山 | 標高の高い山、標高2000m以上の山岳地帯など |
修飾語型は、「前の漢字が後ろの漢字を説明している関係」にある熟語です。「高速(速い道路)」「白髪(白い髪)」「新茶(新しいお茶)」などがこれに当たります。
文の構造としては「どんな〜?」という問いかけが自然にできるかがポイントです。
形容詞的な意味合いを持つ語が先に来て、後に名詞的な語が続きます。意味が視覚的にイメージしやすいものが多く、判断しやすい型ですが、目的語型と混同しないように注意が必要です。
例えば、「急行」は「急ぐ列車」なので修飾語型ですが、「開店」は「店を開く」で目的語型になります。漢字の意味だけではなく、文の成り立ちで判断しましょう。
対策必須!「熟語の成り立ち」で間違いやすいポイント
「目的語型」と「修飾語型」の区別がつきにくい
「目的語+動詞型(愛国=国を愛する)」と、「修飾語+被修飾語型(急行=急ぐ列車)」は、見た目が似ていて混同しやすい典型例です。判別のコツは、後ろの語が主役になるかです。
「愛国」は「国をどうする?」→「愛する」、つまり国が目的語となり動詞「愛する」が主体です。
一方、「急行」は「どんな列車?」→「急ぐ」、つまり「列車」が主語で「急ぐ」が修飾語です。意味を動詞的に捉えるか、形容的に捉えるかで違いが出ます。
この型の区別は慣れが必要なので、問題演習を通じて「文にしたときどんな構造か?」を意識して判断するクセをつけましょう。意味だけに頼ると誤解しやすいので注意が必要です。
「反対語型」と「主語述語型」の混同
「反対語型(例:強弱)」と、「主語述語型(例:出入)」も混同しやすいパターンです。
「出入」は一見、反対語の並列のように見えますが、実際は「出て、そして入る」という動作の連続を表しており、構造的には主語述語型になります。
反対語型は、構成する2つの漢字が対立関係にあり、並列で意味をなすのが特徴です。一方、主語述語型は、「AがBする」や「AがBの状態である」といった文として意味が通じる構造になります。
判別には、間に「が」「は」「を」などの助詞を入れて文にできるかを試してみると効果的です。単なる対義語と思い込むと、構造を見誤るので注意が必要です。
熟語の意味をそのままイメージすると誤るもの
「自立」「独走」「徒労」などの熟語は、構成漢字の意味を直訳してしまうと間違いやすいです。
「自立」は「自分で立つ」と解釈しがちですが、実際には「他人に頼らず生きる」という抽象的な意味です。こうした熟語は、慣用的・比喩的な意味で使われることが多く、成り立ちの型も明確でない場合があります。
また、「意味」から構造を判断しようとすると混乱するため、語を文に置き換えて構造的に判断する方が正確です。
「徒労(無駄な努力)」などは特に注意が必要で、意味と構造が一致しないことがあります。熟語のイメージに引きずられず、構造そのものに注目することが誤答を防ぐ鍵です。
SPI言語の熟語の成り立ちを解くコツ
- 言葉の始めや終わりの漢字に着目する
- 1問にかける時間は10秒程度が目安
- 漢字の意味を理解する
- 演習を重ねて熟語を頭に入れる
言葉の始めや終わりにつく漢字に着目
熟語の構造を見抜く際は、「どちらの漢字が中心か(主語・動詞・被修飾語など)」に注目するのが効果的です。
「国語」は「国の言葉」であり、「国」が修飾語、「語」が中心となる語です。このように、言葉の前後どちらが意味の核になるかを見極めることで、構造が判別しやすくなります。
また、「前の字が動作」「後ろが対象」なら目的語型である可能性が高くなります。
特に、選択肢の違いが微妙な場合、漢字の順序と意味の関係性に注目することで誤答を避けられます。焦らず、漢字同士の意味のつながりを見抜くことが大切です。
1問10秒を目安に解答する
SPIは時間との戦いです。熟語の成り立ち問題は比較的短時間で解ける問題であるため、1問あたり10秒程度で処理するのが理想的です。時間をかけすぎると、長文問題などの他の設問にしわ寄せが出てしまいます。
瞬時にパターンを見抜くには、日頃から構造ごとの例語に慣れておくことが重要です。練習の段階でストップウォッチを使って解答時間を意識すると、解くスピードが自然と上がっていきます。
本番では「迷ったら直感で構造判断」くらいの感覚で次に進む勇気も必要です。粘りすぎず割り切る判断も、試験全体での得点力アップにつながります。
漢字の意味を理解する
漢字一文字の意味を理解しているかどうかは、熟語の構造を見抜く際の大きな手助けになります。
例えば、「愛国」は「愛(愛する)+国(国を)」で、国を愛するという意味。これを理解していれば、「目的語型」とすぐに判断できます。
特に、「熟語では見慣れているけど、単体の漢字の意味を知らない」というケースは意外と多いため、基本漢字の意味を一度しっかり整理しておくのがおすすめです。
これは他の語彙問題や読解にも活きるため、漢字の意味力はSPI全体における基礎力として身につけておきましょう。
演習を重ねて熟語を覚える
最後に大切なのは、演習を通じて経験を積むことです。
熟語の成り立ちは理屈で理解しても、実際の問題では直感的な判断が求められる場面が多くあります。過去問や対策問題集で数をこなすことで、よく出る熟語の型に自然と慣れていきます。
また、間違えた問題は「なぜその型になるのか」をきちんと振り返り、似たタイプの熟語と一緒に覚えておくと応用力が高まります。時間配分の感覚や自分の苦手な型も演習を通じて明確になるため、本番前には必ず反復練習をしておきましょう。
「知っている」から「すぐ判断できる」状態にすることがゴールです。
SPI言語の熟語の成り立ちでよくある質問
熟語の成り立ち問題の出題割合は?
SPIの言語問題では、語彙や文法、長文読解など多くの分野がありますが、「熟語の成り立ち」はその中でも頻出の形式のひとつです。
出題数は形式や年度によっても異なりますが、おおむね2〜3問程度とされています。数は多くないものの、比較的短時間で解けるため、確実に得点したい分野です。
また、構造のパターンを知っておくことで初見の問題にも対応しやすくなります。
言い換えれば、熟語の意味を知らなくても、成り立ちの知識があれば正解を導ける可能性があるため、効率よく対策でき、得点も取りやすい分野といえるでしょう。
意味を知らない熟語が出たときの対処法は?
意味を知らない熟語が出題された場合でも、熟語の「成り立ち」のパターンに注目すれば正答に近づけます。
「主語+述語」「修飾語+被修飾語」など、熟語の構造にはパターンがあります。選択肢の中から構造が一致するものを見極めることで、意味が完全に分からなくても解答の絞り込みが可能です。
特に反対語や同義語の組み合わせはわかりやすく、推測がしやすい傾向にあります。日頃から漢字の意味や語の構造を意識しながら学習しておくと、本番での応用力が高まります。
意味がわからなくても焦らず、構造から冷静に判断することが重要です。
熟語の成り立ちはSPI言語の中でも難しい?
SPIの言語問題の中では、熟語の成り立ちは比較的取り組みやすい部類に入ります。語彙問題や文法問題に比べて出題形式が定型的で、知識をもとに機械的に解答できるため、慣れてしまえば高得点が狙える分野です。
ただし、熟語の意味だけでなく、その構成要素の意味や関係性を理解しておく必要があるため、基礎知識は欠かせません。
また、まれにやや抽象的な熟語や慣用的な表現が出ることもあるため、例題を通じて様々なパターンに触れておくと安心です。
全体から見ると熟語の成り立ちの難易度は、「中の下〜中程度」と言えるでしょう。
漢検の知識は役に立つ?
漢検で身につけた漢字の知識は、SPIの熟語の成り立ち問題にも大いに役立ちます。漢検では、熟語の構成や意味に関する学習が求められるため、そこで得た知識がSPIでも応用可能です。
特に熟語の成り立ちに関連する「構成」や「意味のつながり」に関する問題は共通点が多く、漢検の勉強を通じて自然と対策ができていることもあります。
加えて、漢字の読み書きの正確さもSPI全体の語彙問題で活きてくるため、漢検の勉強をしていた人は有利になる傾向があります。
ただし、SPIはスピード重視の試験なので、正確に解くだけではなく時間配分にも注意が必要です。
SPI言語は熟語の成り立ちで点数を稼ごう!
SPIの言語問題にはさまざまな出題内容がありますが、その中でも「熟語の成り立ち」は比較的解きやすく、短時間で点数が取りやすいおすすめの分野です。
出題数は1〜3問と多くはないものの、しっかりとパターンを押さえておけば、初見の語句でも正解にたどり着ける可能性が高まります。
熟語の構造には典型的なパターンがあり、知識というよりも「構造的な理解」がカギになります。意味を知らなくても、漢字の意味や関係性を見れば推測できるのがこの問題形式の強みです。
効率よく得点を伸ばしたい人にとって、狙い目の分野です。短期間の対策でも効果が出やすいので、優先的に攻略しましょう!

編集者
Yuka
2021年7月に入社し、CareerMineをはじめとする就活メディアの編集を手掛ける。 以前は広告代理店でメディアプランナーとして、広告やキャンペーンの企画を担当。 『SPI対策問題集』では掲載している記事のチェック、編集、ライター管理、コンテンツ制作などを行ってる。また自身もライターとして記事執筆も担当。

監修者
gen
1990年生まれ。大学卒業後、東証一部上場のメーカーに入社。その後サイバーエージェントにて広告代理事業に従事。 現在はサイバーエージェントで培ったWEBマーケの知見を活かしつつ、CareerMineの責任者として就活生に役立つ情報を発信している。 また自身の経験を活かし、学生への就職アドバイスを行っている。延べ1,000人以上の学生と面談を行い、さまざまな企業への内定に導いている。
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