SPIテストセンターは、多くの企業で採用選考に用いられている適性検査です。受ける機会が多いため、対策を避けては通れません。
この記事では、テストセンターの形式と出題内容について、例題付きで基本から紹介します。
さらに、受け方に不安がある方に向けて、予約から当日の受検までの流れを段階ごとに分けて解説しています。対策方法や主な練習方法とあわせて確認しておきましょう。
目次
受検場所 | 全国の会場
またはオンライン会場(自宅) |
受検方法 | 受検案内から場所と日時を予約 |
必出科目 | 言語
非言語 性格検査 |
オプション科目 | 英語
構造的把握力 |
制限時間 | 最短35分~最長75分程度 |
SPIは実施率が最も高い適性検査であり、中でもテストセンターは実施されることが多い受検形式となっています。
そのため、テストセンター形式のSPI対策を最優先で行っておくのがおすすめです。
テストセンターには、全国にある会場を予約するリアル会場形式に加え、Webカメラを使った監視のもとで行うオンライン形式があります。
どちらの受検形式でも、能力検査の「言語・非言語」と性格検査は必ず出題されます。
また、企業によってはオプション科目である「英語・構造的把握力」も実施しています。
受検者によって問題数や解答時間が変わるため、厳密な制限時間は決まっていません。
しかし、「言語・非言語」だけであれば35分程度、「英語・構造的把握力」はそれぞれ20分程度が目安です。
テストセンターは厳格な監視の下で受検するため、スコアの信頼度が高いことが大きな特徴です。選考においても重要な判断材料として扱われることになるでしょう。
SPIの言語はいずれも語彙力・文章力を活かせる内容で、普段からニュースや本を頻繁に読む人にとっては簡単な内容になっています。
求められる語彙力も、中学~高校レベル、もしくは一般常識のレベルとなっています。
ただし、文章系の問題は多少の慣れが重要です。難しくはありませんが、時間がかかりやすく、「解けているのに時間が足りない」といった事態になりやすいです。
素早く解くには、「しっかり読むべき問題」と「飛ばし読みで解ける問題」を区別することが重要になります。
問題例1:二語関係
最初に示された二語の関係を考えて、同じ関係のものを選びなさい。
『なべ:ふた』
ア 着物:帯
イ 薔薇:花
ウ 夢:うつつ
<選択肢>
A. アだけ
B. イだけ
C. ウだけ
D. アとイ
E. アとウ
F. イとウ
問題例2:文章整序
つぎのアからオを意味が通るように並び替えたとき、2番目と4番目にくる文の組み合わせを選びなさい。
ア また、歯や歯茎の状態は健康にも直結するが、顔の若々しさにも影響する問題であ る。
イ 35歳を超えると、80%以上の人が歯周病にかかっていると言われるほどだ。
ウ 30代後半になると、体力的な衰えが気になるようになるが、
エ 歯周病が進み、頬がこけたようになると、とても老けて見えてしまうからだ。
オ それは、歯や歯茎の状態にもあらわれてくる。
<選択肢>
A. アとイ
B. イとア
C. イとエ
D. エとイ
E. オとア
F. オとエ
非言語では、出題範囲が広い傾向にあります。「数学」に近いイメージを持たれやすい科目ですが、実際はあまり複雑な計算は求められず、どちらかというと「論理的な思考力」が必要になる科目です。
条件を提示されて計算を行う「確率」や「割合」の問題以外にも、文章から正誤や前後関係などを読み取る「推論」などが出題されます。
計算に自信があってもつまずきやすい内容なので、言語よりも難しいと感じる人が多いです。そのため、非言語を優先して対策することをおすすめします。
問題例1:推論
X、Y、Zが同じ絵を見てて、次のように発言した。
X この絵には虎が描かれている。
Y この絵には少なくとも虎か龍が描かれている。
Z この絵には龍が描かれている。
全員が本当のことを言っているとは限らない。そこで、以下の推論がなされた。次のうち正しいものを一つ選びなさい。
<選択肢>
問題例2:割合
映画館Tではチケット料金を30%値上げした。すると販売枚数が20%減少したが、全体として売上は上がった。売上高は何%増加したか求めよ。ただし、必要に応じて小数点第二位以下を四捨五入せよ。
<選択肢>
A. 1.0%
B. 2.0%
C. 4.0%
D. 6.0%
英語の問題は、基礎的な語彙力以外にも読解力が必要とされる内容です。
この中で、特に苦戦しやすいのが長文読解です。他の問題は単語と熟語の知識だけで解けるものが多いですが、長文読解は英文の要点を素早く読み取る力が求められます。
英語は必ず出題される科目ではないものの、「出題する=企業が重視している」と考えましょう。そのため、志望企業が英語を実施しているようであれば、なるべく高得点を取りにいきたいところです。
問題例1:同意語
次の単語と最も意味が近い語を,AからEまでの中から一つ選びなさい。
<evident>
<選択肢>
A. conscious
B. accurate
C. obvious
D. absolute
E. vague
問題例2:単語の意味
次の説明文に最も近い意味を持つものを、AからEまでの中から1つ選びなさい。
to give someone the confidence to do something
<選択肢>
A. survey
B. satisfy
C. cure
D. serve
E. encourage
性格検査は300問ほどの問題数があり、約30分の時間で回答していきます。
応募者の人柄や企業との相性を判断する目的があり、いわゆる「心理テスト」のような形式で出題されます。いずれも4つの選択肢が設定されており、その中から自分の回答を選ぶことになります。
性格検査には明確な正解がありません。あくまで「自分の性格」を伝えるための検査なので、素直に回答しましょう。
【問題例1】
以下の質問はあなたの日常の行動や考えにどの程度あてはまりますか。最も近い選択肢を1つ選んでください
(問題1)
A. 一人で旅行するのが好きだ
B. 皆で旅行するのが好きだ
(問題2)
A. 買い物ではよいと思ったらすぐ買ってしまう
B. 気に入っても一度店を出て考え直す
<選択肢>
・Aに近い
・どちらかといえばAに近い
・どちらかといえばBに近い
・Bに近い
引用:リクナビ就活準備ガイド
【問題例2】
以下の質問はあなたの日常の行動や考えにどの程度あてはまりますか。最も近い選択肢を1つ選んでください。
1 新しいものは何でも試してみたい
2 何ごとも継続が大切だ
<選択肢>
・あてはまる
・どちらかといえばあてはまる
・どちらかといえばあてはまらない
・あてはまらない
引用:リクナビ就活準備ガイド
受検案内メールには以下の情報が記載されています。
・受検予約をするページのURL
・企業別受検ID
・受検期限
まずは記載されているURLにアクセスし、ログインを行います。その際に、企業別の受検IDと企業への応募に使っているメールアドレスを入力してください。
また、初めてSPIテストセンターを受検する場合は、「テストセンターID」を取得する必要もあります。
このIDは他の企業でテストセンターを受検する際にも使用することになるので、忘れないように必ずメモをしておきましょう。
会場の数には限りがあり、予約は先着順です。就活シーズンには予約が混み合うこともあり、希望の日時を押さえられない可能性もあります。
就活中の忙しいスケジュールの合間を縫って受検するためにも、早期に日時を決めておくことが重要です。
会場と日時を予約したら、すぐにWeb上での性格検査を受けましょう。性格検査を受ける前は「仮予約」の状態であり、そのまま会場に行っても受検することはできません。
性格検査を受けることで初めて「本予約」となり、続く能力検査を会場で受けることができるようになります。
予約手続きを行った日の「翌日午前3時まで」が性格検査を受ける期限です。30分程度で済む内容なので、忘れないうちにその場で受けておくことをおすすめします。
SPIのテストセンターは用意されているパソコンと筆記用具だけを使って受検する検査です。そのため、受検票と本人確認書類だけあれば、他の持ち物は必要ありません。
受検票は会場の予約画面を印刷して持参する必要があります。また、本人確認書類は顔写真付きのものだけが使用可能です。運転免許証やマイナンバーカード、パスポートを持って行きましょう。
自前の筆記用具や電卓などは使用できないため、余計な荷物になってしまいます。会場ではメモ用紙と筆記用具が貸し出されるので、メモを使った解き方には困らないでしょう。
テストセンター当日は、検査開始の20分前までには会場に着けるようにしましょう。入ってすぐに受検できるわけではなく、受付や持ち物を預けるなどの準備が必要になるためです。
また、初めて行く場所では迷ってしまったり、入口やフロアなどを間違える可能性も十分にあります。こうした事態も織り込み、余裕を持って到着できるように予定を立てておくことが重要です。
遅刻してしまうと受検ができず、企業の指定する期限に間に合わなくなってしまいます。勿体ない結果で終わらないように、ギリギリのスケジューリングは避けましょう。
一度パソコンの前に座って検査を開始したら、検査が終わるまで中断することはできません。途中退室やトイレ休憩は認められていないため、30分~1時間近く座っている必要があります。
ただし、急な機材トラブルや体調不良による一時中断には応じてもらえる可能性が高いでしょう。禁止されているのは「私的な用事での中断」のみです。
また、休憩がないことで、集中力を維持できなくなる人も多いです。しかし、通常の「言語・非言語」のみであれば35分程度とそれほど長くはありません。
最低限その時間だけは集中し続けられるようにしておきましょう。
テストセンターの問題内容は受検者によって異なり、終了時間もバラバラです。終了画面になったら、他の受検者を待たずに退出することができます。
この時、声や音を出したり、他の人の集中を損なうような身振りをすることは絶対に避けましょう。違反として注意が下る可能性があるだけではなく、一般的なマナーにも欠ける行為です。
静かに席を立ち、椅子や扉などの音も最小限に抑えて退出することが望ましいです。
オンライン会場は、SPIのテストセンターを自宅で受検できる形式です。リアル会場で受けるテストセンターより手軽に見えますが、受検環境の要件がかなり厳しくなっています。
まず、Webカメラとマイクを接続したパソコンが必須です。さらに、安定したネット環境も求められます。
パソコンだけでなく、受検する部屋も環境を整えなければなりません。目につく範囲に本や紙などがなく、窓もカ-テンを閉めるなどして外が見えないようにする必要があります。
受検前にカメラを持って部屋の中を一通り見せるため、足元や後ろにも物を残せません。
また、物音や声がない環境でなければならず、家族の話し声なども入らないように協力してもらうことが必要です。
こうした環境を整えるのはかなりの手間がかかり、実際にはリアル会場へ行ってしまった方が早いことも多いです。
スケジュールの合間は縫いやすい方法ですが、楽なわけではないという点に注意しましょう。
SPIは受検形式によって出題範囲や頻度が異なります。テストセンターは比較的まんべんなく出題されるものの、出題頻度の高い傾向にある問題はいくつか存在します。
SPIは完璧に仕上げなくても十分に選考突破ができる適性検査です。まずはテストセンターの出題範囲の問題に軽く触れておき、出題頻度の高い問題を優先的に対策すると良いでしょう。
言語では「二語の関係」「語句の意味」、非言語では「推論」「図表の読み取り」が頻出の問題です。
テストセンターに合わせたピンポイントな対策をすれば、時間も大きく節約できます。SPI全体では出題範囲が広いので、なるべく最小限の勉強で済ませられるよう効率を重視した対策に取り掛かりましょう。
テストセンターでは電卓を使うことができません。しかし、非言語で計算問題はいくつも出題されるので、基本的には暗算で対処することになります。
メモと筆記用具を貸し出されるので、「筆算でもいいのでは?」と考える人もいるでしょう。しかし、筆算だけで全ての問題を解けるほど時間に余裕はないため、ある程度の簡単な計算は暗算で済ませる必要があります。
計算で使うのは、基本的な四則演算と小数・分数の知識程度であり、指数やルートなどを用いた計算は求められません。
練習すれば、かなりの範囲の計算は暗算できるようになるでしょう。
SPIは問題によって解答時間の目安が異なります。それぞれの時間配分を覚えるよりは、「どれも1分以内で解く」と決めておく方がペースを保ちやすいです。
1分以上かけるような問題はないので、どれだけ苦戦しても1分で見切りをつけるようにしておけば、大きなタイムロスにはなりません。
当然ですが、「語句の意味を答える」ような単純な問題は10秒程度で解けるのが望ましいです。練習の段階から、なるべく素早く解くことも意識してみると良いでしょう。
SPI対策は、無料の対策アプリから始めるのがおすすめです。SPI自体の問題形式やスピード感を大まかに知っておけば、今後の勉強の計画も立てやすくなります。
SPI対策アプリでは、SPIを再現した幅広い問題を全て無料で解くことができます。成績の推移や苦手分野の復習といった便利機能も搭載しており、効率的な勉強をサポートしてくれるでしょう。
言語・非言語に加え、練習問題があまりみられない英語まで問題を網羅しています。テストセンター対策はアプリでSPIを知ることから始めてみましょう。
出典:Amazon
本格的なテストセンター対策には、参考書も欠かせません。最新の出題傾向に合わせた内容で、各問題の基本から効率的な解き方まで知ることができます。
7割以上といった高得点獲得を視野に入れている人は、参考書をメインに勉強を進めるのがおすすめです。
参考書を使う際は、どれか1つに絞って繰り返し練習するようにしましょう。
複数の参考書を併用しても、大きな効果は得られません。1つの参考書を繰り返し解き、問題パターンを覚えることが重要です。
ある程度テストセンター対策が固まったら、模擬試験にも挑戦してみましょう。本番に近い環境でテストを受けてみることができ、勉強の成果を確かめることができます。
また、SPIの形式自体に慣れることにも繋がり、本番の緊張感を和らげられます。当日は周囲にも受検者がおり、全員が真剣で落ち着かない雰囲気になることも多いです。
模擬試験で慣れておけば、当日はリラックスして問題に臨むことができるでしょう。
SPI対策模試では、最短5分の簡単レベル診断から、本番想定の本格的な模試まで無料で受けることができます。対策を始める前にも有効なので、ぜひ一度お試しください。
SPIのテストセンターは就活中に受ける機会が特に多い適性検査です。複数の志望企業で実施されている可能性があるため、今のうちに対策しておけば将来的に選択肢を広げることにも繋がります。
適性検査が就活の全てではないものの、「SPIの結果が悪いから無条件に不採用」と決める企業は少なくありません。
面接など自分をアピールできる段階まで進むためには、SPIで自身の能力を明確に示す必要があります。
アプリや参考書を使って必ず対策を行い、就活に後悔を残さないようにしましょう。