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SPIの受検形式は、4つに分類されます。
中でも「テストセンター形式」の実施率は65%と、SPIを受検する人の半分以上が受検しています。続いて「Webテスト形式」が約20%で、この2つがSPIで受検する可能性が高い形式になります。
この記事では、「テストセンター」と「Webテスト」に特化して、違いを解説していきます。
分野 | テストセンター | Webテスト |
言語 | 〇 | 〇 |
非言語 | 〇 | 〇 |
英語 | △
※企業による |
✕ |
構造的把握 | △
※企業による |
✕ |
性格検査 | 〇 | 〇 |
SPIのテストセンター形式では、能力検査で言語・非言語が必須、英語・構造的把握が企業ごとのオプションで出題されます。
一方、Webテスト形式では能力検査の言語・非言語が出題されます。英語と構造的把握が出題されることはありません。
性格検査は両者で課されるため、どちらでも必ず受検することになります。
SPIのテストセンターで出題される英語は共通テストレベルと言われており、入社後、グローバルに活躍する人材を求める企業で採用される傾向があります。
構造的把握は、「ものごとの背後にある共通性や関係性を構造的に把握する力」を測ることを目的としています。柔軟な問題解決力を求めるコンサルや商社で実施されやすくなっています。
電卓の使用可否も形式によって異なります。テストセンターでは電卓の使用は認められていません。一方、Webテストでは電卓の使用が認められています。
テストセンターの場合、受検会場への持ち込みも禁止されているため、万が一持参してしまった場合は、受検前に必ずロッカーに預けましょう。
時間制限の厳しいSPIの非言語問題では、電卓の使用可否によって問題の進め方が異なります。使用できるできないを予め把握した上で、対策に取り組みましょう。
SPIには、過去に受検した際の試験結果を、他企業の選考のSPIで使い回す「前回結果送信」という機能があります。
試験監督による監視の目があるテストセンターでは、この機能を使うことができます。
ただし、過去1年以内に受検したSPIの結果に限るとともに、最新の結果しか送信することができません。
昔の結果を遡って選択することはできないため、受検後の手ごたえが良かった場合のを使い回すのが効果的です。
テストセンターとWebテストは、出題分野が異なるだけでなく、各分野の出題内容も細かく違っています。
言語と非言語、それぞれで出題される問題の傾向を解説します。
言語で注意したい問題 |
・二語の関係
・熟語の意味 ・語句の用法 ・長文読解 |
テストセンターの言語では、高い語彙力が求められる問題が出題される傾向にあります。中でも、「二語の関係」「熟語の意味」「語句の用法」は単純な知識量を問う問題といえるでしょう。
語彙力を求められる問題は、純粋にその語句を知っているかどうかで回答が決まります。そのため、知らない語句が出ると落としやすい問題です。
また、「長文読解」でも文章構成の最低限の知識が必要となります。
語彙力は単なる暗記ではなく、日常で目にしてきた文章の積み重ねです。勉強して鍛えようとするよりも、ニュースや新聞記事などを意識的に読むようにすると良いでしょう。
読み方や意味を知らない語句に出会ったら調べる癖をつけることで、無理なく知識を蓄えられます。
【二語の関係|例題】
最初に示された二語の関係を考えて、同じ関係のものを選びなさい。
薬品:調合
ア. 道路:整備
イ. 除菌:消臭
ウ. 衣服:洗濯
<選択肢>
非言語で注意したい問題 |
・図表の読み取り
・代金の精算 ・資料の読み取り ・長文読み取り計算 |
テストセンターの非言語は、他の形式と比べると出題範囲が広くなっています。出題頻度にも大きな偏りがなく、まんべんなく出題される傾向にあります。
また文章や資料を読み取って計算する問題は、他の形式よりも出題されやすいです。1問に時間がかかりやすい上、配点も大きい傾向にあるため、注意が必要です。
この他にも公式や解答パターンを知らなければ苦戦する問題が多く、山を張った対策が通用しにくい分野です。
全体をしっかり仕上げておかなければ、高得点を取るのは難しいでしょう。
【図表の読み取り|例題】
化合物X、Y、ZはH、O、Cの3種類の原子でできている。X、Y、Zの1分子あたりの原子の個数比は以下の表の通りである。化合物Yの分子に占めるH、O、Cの各元素のうちで、重さが最も重い元素はどれか。ただし、Hの重さを1とすると、Oは16、炭素は12であるとする。
<選択肢>
織り込むべき時間の例 |
・徒歩の移動時間
・公共交通機関の待ち時間 ・運行遅延 ・迷うなどのトラブル |
テストセンター会場の多くは、ビルや施設の一室が指定されています。わかりやすい建物ではない可能性もあるため、事前にアクセスを確認しておくことは必須です。
公式ページの案内だけでなく、Googleマップのストリートビューなどを利用してアクセスを確認しておきましょう。
また、移動に公共交通機関を使う場合は、30分程度前倒しのスケジュールを組むと良いでしょう。運行遅延や迷ったりする可能性も十分に考えられます。
万が一、時間に遅れた場合は受検自体ができないので、早めに到着する意識が重要です。
テストセンター受検の際、腕時計を受検会場に持ち込むことはできません。時間を確認する際は、画面上に表示される時計か、会場の時計を見ることになります。
腕時計をつけて来てしまった場合は、受検前にロッカーに必ず預けましょう。
また、アナログの腕時計だけでなく、スマートウォッチも持ち込み禁止です。電子機器の持ち込みが発覚すれば、重大な不正行為として扱われるので注意しましょう。
主な本人確認書類 |
・学生証(顔写真付きのみ)
・マイナンバーカード ・運転免許証 |
テストセンターでは、受検前に本人確認が行われます。これはオンライン会場の場合でも同様で、Webカメラに向けて身分証と自分の顔を見せることになります。
本人確認に使える書類は、顔写真付きの学生証やマイナンバーカード、運転免許証などです。いずれも有効期限が切れているものは本人確認に使えないため、注意しましょう。
また、検査の時間になってから本人確認書類を探し始めると、遅刻とみなされる可能性があります。開始前までに必ず手元に用意しておきましょう。
テストセンターでの受検中は、原則として離席や中断ができません。一度受検が始まったら、常にパソコンの前に座っている必要があります。分野間の休憩時間も設けられていないので、約1時間は席を立つことができません。
この制限は、オンライン会場の場合であっても同様です。途中の離席や、カメラの画角から外れることは許可されません。机の下に落としたものを拾う程度であっても、不正行為とみなされる可能性があります。
スケジュールに余裕を持たせておく・トイレや水分補給は済ませておくなど、事前に離席する用事をなくしておくことが重要です。
形式 | 受検場所 | 時間 |
テストセンター | 会場または自宅 | 予約制 |
Webテスト | 自由 | 自由 |
ペーパーテスト | 企業 | 企業指定 |
インハウスCBT | 企業 | 企業指定 |
テストセンターの受検場所は、会場に行って受検する「現地会場」と、自宅などでパソコンを使って受検する「オンライン会場」の2つです。
テストセンター形式の場合、受検者側で「場所と日時を予約」する必要があります。他の形式にはない制度です。
テストセンターの会場は全国7都市に設置されており、新卒採用のピーク時には臨時会場も開設されます。会場と時間ごとに人数の上限があるため、受検が決まったらなるべく早く予約を取りましょう。
一方、Webテストは場所も時間も自由であり、SPIの中では最も受検しやすい形式です。また、ペーパーテストとインハウスCBTは、企業に行って受検します。日時と場所は指定されることが多く、予約などをして受けることはできません。
形式 | 1問ごとの制限時間 | 全体の制限時間 |
テストセンターWebテスト
インハウスCBT |
あり | 合計65分
(能力検査35分・性格検査30分) |
ペーパーテスト | なし | 合計100分
(言語30分・非言語40分・ 性格検査30分) |
テストセンター・Webテスト・インハウスCBTでは、1問ごとに制限時間が設けられています。問題によって時間は異なるため、一定のペースで解答していくことはできません。
さらに、制限時間が終わると自動的に次の問題に進むようになっているため、悩んでいると未解答になってしまうこともあります。
これら3つの形式は、能力検査35分・性格検査30分の合計65分で実施されます。テストセンターの場合は個人の進行状況に応じて変動するため、多少前後する可能性があります。
一方、ペーパーテストでは、1問ごとの制限時間が設けられていません。言語30分・非言語40分・性格検査30分の合計100分で解答していきます。順番に解いていく必要もないため、比較的自由に進められます。
ただし、1問にいくらでも時間をかけられることから、時間配分を間違えた時の影響が大きいです。
例えば、1問に2分程度かけてしまった場合、他の1問を解く分の時間がほとんどなくなってしまいます。時間配分には十分に注意が必要です。
分野 | テストセンター | Webテスト | ペーパーテスト | インハウスCBT |
言語 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
非言語 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
英語 | △
※企業による |
✕ | △
※企業による |
✕ |
構造的把握 | △
※企業による |
✕ | ✕ | ✕ |
性格検査 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
SPIは、出題分野も形式によって異なります。言語・非言語は共通で出題されますが、オプションとして実施されることがある英語と構造的把握は、一部形式でしか出題されません。
英語はテストセンターとペーパーテスト、構造的把握はテストセンターでのみ出題される可能性があります。
また、各分野の出題範囲も細かく異なります。例えば、テストセンターの非言語では、他の形式では出題されない「資料の読み取り」や「代金の精算」などが出題されます。
時間がかかりやすく、配点も高い傾向にあるため、対策漏れがあると一気に点数を落としかねません。
また、共通で出題される問題であっても、出題頻度には違いがあります。自分が受検する形式で頻出の問題から勉強することで、効率良く得点を伸ばせるでしょう。
電卓を使用可能 | 電卓の使用禁止 |
Webテスト
インハウスCBT |
テストセンター
ペーパーテスト |
テストセンターとペーパーテストでは、電卓の使用が禁止されています。高度な計算は求められないものの、最低限の暗算力が必要です。
テストセンターでは、不正防止の観点からその他の物品も持ち込みができません。メモ用紙や筆記用具は、現地会場で配布されるものだけを使うことができます。
一方、Webテスト・インハウスCBTでは電卓を使用できます。その分、必要な計算量も多い傾向にあり、電卓の使用を前提とした難易度といえるでしょう。
テストセンターで受検した結果は、他の企業でテストセンター受検を求められた際に使い回すことができます。
何度もテストセンターに行く必要がなくなる上、高点数を取れたと感じた結果を何度も使うことも可能です。
ただし、過去の結果を遡って選択できるわけではなく、「前回の結果のみ」の使い回しになるので注意が必要です。
また他の形式での受検を求められた際に、テストセンターの結果を提出することはできません。
その逆として、テストセンターを受ける代わりに、他の形式を受けた結果を提出することも不可能です。
SPIは受検形式によって出題分野・内容や制限時間、評価基準まで異なります。「どれも同じもの」と考えていると、様々な違いに躓いてしまう可能性が高いです。
テストセンターは採用している企業も多い上、出題範囲の広い形式です。受検方法に合った対策を取っていないと、本番で思うように解答していくことは難しいでしょう。
また、オンライン会場で受検する場合は、受検環境も整えておく必要があります。テストセンターよりも楽な形式というわけでは決してありません。
当日になって慌てることのないよう、テストセンターとその他の受検形式の違いを必ず確認しておきましょう。