SPIの非言語では、受検形式によって出題される問題の範囲が異なります。
例えば、「代金の精算」はテストセンターでは出題範囲に設定されていますが、Webテストでは出題されません。一方、「整数の推測」はWebテストでは出題範囲に設定され、テストセンターでは出題されません。
このように、受検形式によって出題の有無が変わる問題が複数ある中で「仕事算」はどの受検形式であっても出題範囲に含まれる問題です。
出題頻度は高くありませんが、どの形式でも出題される可能性があるため、対策は必須といえるでしょう。
ただし、必ず出題されるとは限りません。あくまで出題範囲に含まれているだけで、出題されるかどうかは試験を受けるまではわかりません。
仕事算は他の頻出問題に比べ難易度が低いため、しっかりと対策を行い、確実に点数を取れるようにしておきましょう。
仕事算は単純な計算問題とは異なり、しっかりと文章を読み込まなければ解けない問題です。解き方のパターンも多いため、様々な練習問題を解き、解き方を理解することが対策の要になります。
【例題】
スマートフォン本体を分割払いで購入する。購入時に頭金を払い、次は残額を6回均等払いで支払う。その際、残額の20%の利子が加算された金額を6等分して支払う。
頭金として購入価格の20%を支払う時、その後の分割払いの1回分の支払額は購入金額の何%か。
<選択肢>
1人や1つの物の仕事についての問題です。主に、支払い額の計算や、仕事が終わるまでの時間などを求めることになります。
他の問題よりも簡単な計算で済みやすく、難易度としては低めです。「利子」「最初に〇%を終わらせる」といった条件を見落とさないようにすれば、正答しやすい問題といえます。
【例題】
ある書類の処理を全て終わらせるのに,Xは6日間、Yは10日間かかる。この処理をXとYの2人で行う場合、全て終わらせるまでに何日かかるか。
なお2人で処理する場合も時間あたりの処理量は変わらない。
<選択肢>
2人が異なる効率で同時に仕事を行う時の計算をする問題です。問題文で明確に「2人で行う」といった記述があれば、このタイプの問題だと判別できます。
2人の仕事算では、最小公倍数を使って計算を行います。それぞれが「1人で仕事を行った場合の時間」の最小公倍数を求め、それを基準に1時間あたりの仕事量を導きます。
その後、それぞれの1時間あたりの仕事量を足せば、2人で行った場合の1時間あたりの仕事量が求められます。
【例題】
ある予備校のテスト採点は、XとYの2人で行うと6時間かかる。ある時、X1人で2時間作業し、Y1人で残りの採点をした。このときYは採点に12時間かかった。
この採点作業をX1人だけで行う場合、どのくらい時間がかかるか?
<選択肢>
2人で仕事を行った場合の時間をもとに、どちらか1人だけで行った場合の時間を求める問題です。
「2人で行った場合」「途中で入れ替わった場合」の2つに注目して計算を行いましょう。これらの時間の最小公倍数から全体の仕事量を定めれば、それぞれが1人で仕事を行った場合の時間が求められます。
【例題】
英語と数学の宿題がでた。Pは英語、数学の宿題をやるのにそれぞれ1時間、3時間かかる。Qは2時間、2時間かかる。Pは数学の宿題を1時間やったが、時間がかかりそうだったのでQにやってもらうことにした。その代わりPはQの英語の宿題をやってあげることにした。
QがPの分の数学の宿題を終えるのは、PがQの分の英語の宿題を終える時間の何分後か。
<選択肢>
2人が途中で交代して仕事を行う時の計算をする問題です。最初に、それぞれが1人で行う場合にかかる時間が提示されます。
全体の仕事量から、それぞれが行った仕事量を引いて考えていくのが基本です。複数の仕事がある場合は、数値が混ざらないように、片方の仕事量から計算していきましょう。
【例題】
ある書類の処理を全て終わらせるのに,Xは3日間、Yは4日間かかる。Zは5日間かかる。
この処理を初日にXが一人で行い、残りはYとZの3人で行う場合、全て終わらせるには2日目に何時間何分作業すれば良いか。
小数点第二を四捨五入せよ。
なお2人で処理する場合も時間あたりの処理量は変わらない。
<選択肢>
- 16時間24分
- 18時間12分
- 20時間24分
- 22時間12分
<正解>
C. 20時間24分
引用:SPI攻略ナビ
「途中まで2人、その後は3人」のように、仕事を行う人数が変わる時の仕事量を求めます。3人いる場合でも、それぞれが1人で仕事を行う場合の仕事量を定めなければならないため、数値の管理が難しい問題です。
手間はかかりやすいですが、少しでも間違えると答えが大幅にずれてしまいます。他の種類の仕事算よりも時間をかけることを前提に、丁寧な計算を行う必要があるでしょう。
【例題】
新しい土地を買うことになり、買収資金を会社XとYが2:1で出し合う。また、X社はさらに子会社X1、X2、X3に分かれており、それぞれの出資金の割合が異なる。なお、X1社の出資金は総買収額の2/9である。
X2の出資金がX社の出資金の中の1/6である時、X3社の出資金は総買収額のどれだけにあたるか。
<選択肢>
いくつかの仕事量が提示され、そこから残った仕事量の割合を計算する問題です。それぞれの仕事量は、比率や全体に対する割合などで表されているため、それら全てを最初に整理しなければなりません。
それぞれの仕事量を整理できれば、その後は簡単な計算で答えを出せます。計算の段階が多くなりやすいので、メモを活用してミスを予防しましょう。
【例題】
排水用ポンプX、Yがある。
池の水をすべて抜くのに、ポンプXのみでは4時間、ポンプYでは6時間かかる。
満タンの池の水をポンプXとYで排水するとき、池に水が溜まっていない状態にするのに何時間かかるか。
<選択肢>
<正解>
A. 2時間24分
複数のポンプで、水を全て排水するまでの時間を計算する問題です。ポンプを同時に使わず、「交代して使う」という場合もあります。
「満タンから減っていく」という点で、他の問題と異なるように見えるかもしれません。しかし、実際は同様の計算しか求められないため、大きな差はありません。
感覚として理解しにくい場合は、「排水」を「給水」に読み替え、「水が溜まっていない状態から満タンまで」の仕事量として考えると良いでしょう。
【例題】
排水用ポンプX、Yと、給水用ポンプP、Qがある。
池の水をすべて抜くのに、ポンプXのみでは2時間、ポンプYでは6時間かかる。
また、池に水を同じ量戻すのにポンプPだと4時間、ポンプQだと12時間かかる。
満タンの池の水をポンプXとYで排水するが、同時にPとQで給水しながら洗い流すとき、池に水が溜まっていない状態にするのに何時間かかるか。
<選択肢>
給水しながら水抜きして、水を排水し終えるまでの時間を求めます。給水と排水を同時に行うため、「排水が終わらないのでは」という感覚に陥るかもしれません。
この問題では、給水と排水を分けて考えないことが大切です。「排水ペースが給水ペース分だけ遅くなる」と考えましょう。
排水用のポンプと給水用のポンプそれぞれの仕事量を求め、そこから最終的な排水ペースを導くのが基本の計算手順になります。
SPIの仕事算では、「誰が・何が仕事をするか」のパターンはある程度決まっています。基本的に、「1人」「複数人」「ポンプ」の3パターンしか出題されません。
人や物が仕事を行う場合、1つだけが仕事を行うパターンと、2~3つが仕事を行うパターンに分かれます。物が仕事を行う場合は、「プリンター」「バッテリー」などがテーマになりやすいです。
また、水槽や池の水を抜く問題では「ポンプ」が使われます。排水用・給水用があり、どちらも複数同時に使われる問題もあります。
こうした3パターンの分類を意識して問題を読むと、最初に何から取り掛かればいいのかを即座に判断できるでしょう。
<仕事量の考え方>
1人で3時間=1時間で1/3
1人で5時間=1時間で1/5
仕事算では、全体の仕事量を「1」として決めることで計算をシンプルに行える場合があります。
例えば、「1人で行うと3時間で終わる仕事」は「3時間かけて1の仕事を行う」と読み替えることができます。こうすれば、1時間あたりの仕事量が「1/3」であると求められるでしょう。
複数人が仕事を行う場合、それぞれの1時間当たりの仕事量が何分の1なのかを求めれば、計算をしやすくなります。
ただし、分数を使うことになるので、通分や約分の基礎知識は必須です。「足し引きする時は分母を合わせる」という点は忘れやすいため注意しましょう。
<2人以上の仕事量を計算する時の考え方>
Aは1人で3時間・Bは1人で4時間
3と4の最小公倍数は12=全体の仕事量
2人同時なら1時間で3+4=7の仕事量
2人以上の仕事量を計算する場合は、最小公倍数を使うのも効率的です。最小公倍数とは「2つ以上の数字が持つ共通の倍数」を指します。
例えば、「Aは3時間で終わり、Bは4時間で終わる仕事」の場合、最小公倍数は「12」です。これを全体の仕事量として置くと、「Aは1時間に4の仕事量」「Bは1時間に3の仕事量」を進められることがわかります。
AとBが同時に仕事を行っても、途中で交代したりしても、全体の仕事量は変わりません。それぞれの1時間あたりの仕事量を、足したり掛けたりした数が12になる時間が答えになります。
SPIは実施企業の多い適性検査であり、対策アプリも数多く配信されています。ちょっとした空き時間にも対策を進められるのが大きなメリットです。
SPI対策アプリでは、無料で幅広い問題を練習することができます。解説が充実している他、模擬試験も気軽に受けることができます。
さらに、メモ機能も搭載されているため、スマホだけで仕事算の対策が不自由なく行えます。本番でどんなメモを取るべきか、といった練習にもなるでしょう。
出典:Amazon
「とにかく数をこなしたい」「本格的な解説が欲しい」という人には、問題集の利用がおすすめです。仕事算以外にも多くの問題を練習できるので、まとまった時間で勉強する時に役立つでしょう。
ただし、問題集は自分の目的に合った内容か必ず確認する必要があります。
非言語に特化したものもありますが、全体をまんべんなく扱っているものも販売されています。もし非言語だけを練習したいのであれば、他の科目の問題数が少ないものを選びましょう。
また、発行年度も重要なポイントです。古い年度のものは情報や出題範囲が現在と異なる可能性があります。
仕事算をはじめとした非言語の練習問題は、無料のWebサイトでも練習が可能です。非言語は出題範囲が広いので、どのサイトも問題数を多めに掲載している傾向にあります。
仕事算の場合、「水槽(池)の問題があるか」を重視して練習問題サイト探すと良いでしょう。象徴的な問題のため、種類が網羅されているかどうかの指標になります。
また、解答・解説がすぐに確認できると勉強が効率的に進められます。ほとんどのサイトでは無料の会員登録をするだけで解答を読むことができるので、金銭面で負担になることはないでしょう。
仕事算は時間がかかりやすい問題です。本番では1問に何分もかけてはいられないので、タイマーを使って時間感覚も覚えながら練習しましょう。
目安として、1問を1分以内に解くことができれば、本番で時間不足になる可能性は低いです。何度も時間を測りながら解いていくことで、自分なりの時短テクニックも見つかるでしょう。
また、仕事算以外の問題も何個か続けて解き、ペースを維持できるかどうかも確認しておくと安心です。本番では30問近い問題に連続で取り組まなければならないので、1問1分のペースを継続する必要があります。
SPI非言語の仕事算は、見慣れない人も多い形式の問題です。解き方がわかっていない状態で出題されれば、時間内に解き終えることは難しいでしょう。
しかし、コツさえ掴んでしまえばそれほど難しい計算を求められる問題ではありません。落ち着いて問題文を読み取り、情報をメモして整理することができれば、最終的には簡単な計算で答えが出ます。
「途中で交代」「人数が増減」「ポンプ」といった独特の要素に慣れ、どんな問題でも解答パターンに沿って計算できるようにしましょう。