SPIは就活において避けて通れない適性検査ですが、本格的な対策には数週間の勉強が必要です。
「気づけば試験直前…」「一夜漬けでなんとか乗り切りたい」そんな状況に不安を抱えている就活生も多いでしょう。
この記事では、一夜漬けでも間に合う、押さえておくべき暗記事項や頻出問題、解答のコツを紹介しています。限られた時間で効率よく対策し、少しでも突破率を高めていきましょう。
目次
大前提として、一夜漬けでSPI対策を万全にするのは非常に厳しいといえます。平均的な難易度のテストとはいえ、数時間の勉強で高得点を取れるほど簡単ではありません。
一夜でどれだけ効率良く詰め込んでも、現実的に目指せるのは5~6割程度と考えておきましょう。
中小企業であれば5~6割でも合格の可能性がありますが、人気企業では突破は難しいレベルです。基本的には、「できるところまでやる」という程度の対策をすることになるでしょう。
一夜漬けで詰め込んだ知識は、定着しないことが多いです。就活中にSPIを受ける機会が一度だけとは限らないので、2回目以降受検する時には抜けてしまっているでしょう。
毎回一夜漬けで臨むのは効率が悪いため、どうしても間に合わない時にだけ使う手段だと割り切って考えるべきです。
何度も安定して高得点を取るためには、時間をかけた対策は欠かせません。一夜漬けでは安定した点数を出せないので、今後SPIを受ける際はより余裕を持って対策を始めるようにしましょう。
企業によっては、SPIの得点をそれほど重要視せず、極端に悪い結果でなければ通過できるケースもあります。
特に、性格重視の企業では「能力検査はあくまで参考程度」としていることも多く、SPIが原因で足切りされることは少ないでしょう。評価基準は公開されていないものの、業種や職種によって大まかな傾向はあります。
例えば、飲食や営業のような、人前に出ることが多いポジションの場合は性格が重視されやすいです。また、他社とのやり取りが多い人材職や広報職などでも、コミュニケーション能力を評価される傾向があります。
まずはSPIの出題方式を押さえておきましょう。仕組みを理解していないと、時間切れで大きく失点してしまう可能性があります。
SPIは言語30分程度、非言語40分程度が基本で、1問ごとに30秒~1分程度の制限時間が設定されています。制限時間が長めの問題は問題文自体が長いため、どれも熟考することはできません。
特に時間配分は、知っていれば注意できるものの、初受検では見落としがちなポイントです。問題演習よりも先に理解しておく必要があります。
出題方式を押さえたら、まずは各分野の「問題文だけ」を大まかに確認しましょう。問題を1つひとつ解いていくと時間がかかってしまうため、最初は「どんな問題が出るのか」を知ることに集中しましょう。
問題の確認には、SPI対策問題集やSPI対策アプリを活用すると便利です。SPIの幅広い出題範囲に対応した問題を掲載しているので、全体の雰囲気を短時間で掴めます。
また、気になる問題があれば1~2問だけ解いてみましょう。意外と初めてでも解ける問題があることがわかります。また、難易度の感覚もつかむことができるでしょう。
大まかに問題の傾向を掴めたら、暗記だけで対応できる問題の対策に移りましょう。特に非言語では効果的で、公式や計算のルールなどを覚えるだけで正答率を大きく伸ばせます。
使う公式は中学レベルが中心ですが、日常生活で使わない知識なので、忘れている人も少なくありません。公式が思い出せなくても解けないこともありませんが、制限時間に間に合わないケースがほとんどです。短時間で解くためには、基礎的な暗記は必須です。
また、言語においても頻出語句があります。それを軽く見ておくだけでも得点を伸ばすことができるので、暗記項目は優先して押さえましょう。「頻出語句」は記事の後半で一覧にまとめて紹介しています。
一夜漬けでの最後の仕上げとしては、出題率の高い問題に絞って練習し、正答率を上げることです。SPIは出題範囲が広いので、短時間で全ての問題に対応することはできません。
しかし、出やすい問題に絞れば、最低限の得点ラインに届く可能性が高まります。
ただし、単元ごとの出題頻度は受検形式によって若干異なります。特に、出題されない単元の対策に時間を使ってしまわないように、形式ごとの出題範囲は必ずチェックしておきましょう。
具体的な頻出問題の例は、次の段落で紹介していきます。
【例題】
最初に示された二語の関係を考えて、同じ関係のものを選びなさい。
製造:販売
ア 立案:実行
イ 野菜:収穫
ウ 会社:起業
<選択肢>
二語の関係では、最初に関連する2つの語句が提示され、それと同じ関係を持つ語句のペアを選択肢から選びます。
よくある組み合わせは「関連する動作同士」「目的:動作」「道具:用途」「単語:反対語」といったものです。比較的シンプルな語句が出題されるので、「そもそも意味が理解できない」ということにはならないでしょう。
簡単に解くには、語句の組み合わせのパターンを覚えてしまうことが有効です。練習問題を何度か解いていればペアとして使われやすい関係が見えてくるので、本番でも「どのパターンに当てはまるか」を考えるだけで解答できるでしょう。
【例題】
下線部の言葉と、意味が合致するものを1つ選びなさい。
落ち着いていて物事に驚かないさま
<選択肢>
語句の意味は、提示された意味に合う単語を選択肢から選ぶ問題です。似たような意味の単語が複数ある場合は、最も近い意味のものが正解になります。
単純な知識が求められるため、「知らないと解けない問題」の典型例といえます。単語を構成している漢字から意味を推測できる場合もありますが、確実な解き方ではありません。「皮肉(遠回しに非難すること)」のように、漢字と単語の意味が全く違う場合があるためです。
短時間で語彙力を鍛えるのは難しいので、消去法を活用して答えるのがおすすめです。合致する単語がわからない場合でも、「明らかに違う」という単語だけを省けば、正解になる確率は高まります。
もし選択肢を2個か3個まで絞り込むことができれば、単純計算で3割以上は正解することができるでしょう。
【例題】
1〜6の数字がそれぞれ書かれたカードが6枚ある。X、Y、Zはそれぞれ一枚ずつカードを取った。取ったカードの数字について以下のことがわかっている。
Ⅰ XとYの取ったカードの合計は6である。
Ⅱ YとZの取ったカードの合計は4である。
Xが取ったカードの数字はいくつか。
<選択肢>
推論は文章や条件を読み、論理的に考えて答えを求める問題です。問題文の状況を頭の中でイメージすることが必要で、計算力だけで解決することはできません。そのため、非言語の中でも難しいと感じる人が多い単元となっています。
解答する時には、メモ用紙を使って状況を整理していくようにしましょう。「A 〇個」「B+C 〇個」のような形で簡潔にメモを取ることで、素早く問題の全体像を掴めます。順番や属性に関する問題で特に役立つテクニックです。
高い計算力が求められない分、解き方さえわかってしまえば計算が苦手な人でも解きやすい問題といえます。どの形式でも頻出の問題なので、非言語は推論から対策していきましょう。
【例題】
景品がもらえるくじをやる。当たりくじが2本、ハズレくじが6本入ったくじを8回ひく。ただし、一度引いたくじは元に戻さないものとする。
1回目と2回目のどちらも当たりをひく確率を求めよ。
<選択肢>
確率は比較的シンプルな計算問題です。確率についての基本的な考え方と公式がわかっていれば解くことができます。
解答の際は、「全体のパターン数」「当てはまるパターン数」の2つを意識して進めましょう。
どちらも莫大なパターン数になっていることは少なく、最終的な確率は整った分数で表すことが多いです。そのため、計算中に分子か分母の数字が異様に大きくなる場合、間違っている可能性が高いでしょう。
また、選択肢の分母は特定の数字の倍数になっていることが多いため、こちらも計算のヒントにできます。例えば、選択肢の分母が全て「5の倍数」だった場合、途中式で5を掛けていなければ、どの選択肢にも合わなくなります。
こうした点に注意を払うことで、計算をする前から間違いに気付くことができます。誤った計算を進めてしまうと、改めて解き直す時間はほとんど残りません。
SPIの言語は、単純な語彙力を求められる問題が多く出題されます。問題自体もシンプルなので、前後の文章などから語句や意味を推察することができません。
そのため、言語の頻出語句に一通り目を通しておき、難しい語句も「見たことがある」程度には理解しておくことが必要です。
頻出語句をすぐに確認したい方は、SPI最短突破3選パックの利用がおすすめです。200個の頻出語句に加え、単元別の解答テクニックや模擬試験まで無料でダウンロードすることができます。
頻出語句は一覧形式でまとまっているので、大まかに確認しておきたい時には最適です。1つ1つを暗記することは難しいですが、語句を見たことがあるだけで解きやすさは大きく変わってくるでしょう。
非言語では、上記10個の公式は必ず押さえておきましょう。その場で計算方法を考える時間はないので、公式に当てはめるだけで解けるようにしておく必要があります。
公式を覚える際は、形をそのまま覚えずに要素を1つ1つ覚えた方が安定しやすいでしょう。公式を変形して解くべき問題も多いため、要素同士の関係を理解しているとスムーズに式を立てられます。
例えば、「速さと時間から距離を求める」問題の場合、公式そのままの形では計算が複雑です。「速さ=距離÷時間」から「距離=速さ×時間」に変形することで、そのまま答えを出すことができます。
また、公式を変形する時には、「+-の符号」と「×÷の記号」にも注意しましょう。移項や両辺に掛ける・割るといった操作をする際、符号や記号を間違えると全く使えない式になってしまいます。
⚫︎わからなければ適当に選ぶ
⚫︎答えを考え直さない
⚫︎長い問題は設問を先読みする
⚫︎性格検査は素直に答える
SPIのほとんどの問題は選択式です。選択肢の数も3~5個程度と少ないので、適当に選んでも正答できる確率が20%以上あります。
さらに、誤答も未解答も同じく不正解として扱われるため、「わからないけど1つ選んでおく」という解答にリスクがありません。
そのため、完全にわからない問題が出た場合は、即答で選択しましょう。もし2〜3択まで絞れれば、さらに正解率は上がります。消去法で可能性を高めつつ、最後は迷わず選ぶのが得策です。
SPIは1問につき30秒程度で解いていくことが原則です。答えを出した後に間違いに気付いたとしても、解き直すことはほぼ不可能といえます。
「考え直している間に時間切れで未解答」となるのは最悪のケースです。一度答えを出したら、合っているかどうかは気にしすぎずに次の問題へ進むようにしましょう。
SPIは1問1問の正答率にこだわらず、全体で目標スコアを達成することを意識するべきテストです。もし間違っていたとしても、「次の問題で巻き返す」と前向きに捉えて、解答ペースを維持することが重要です。
SPIの中でも、図表を使う問題と長文問題は「問題文自体の読み取り」に時間がかかりやすい単元です。
最初から全文を読むのではなく、先に設問を確認し「何を問われている問題なのか」を把握してから本文を読むと効率的です。
解答に必要な数値や記述がわかっていれば、読むべき箇所を最小限に絞れます。
制限時間が長い問題は配点も重くなりやすいので、なるべく余裕を持って解けるようにしておきましょう。
性格検査では、人柄や考え方だけでなく、「嘘をついていないか」まで測られています。自分を良く見せようとして嘘の回答を繰り返していると、他の回答との矛盾が表れ、ネガティブな評価を受けることも。
大切なのは、完璧な性格を演じることではなく、自分を正直に表現することです。短所も含めて素直に答えた方が、むしろ「自己理解ができている」と好印象につながるでしょう。
一夜漬けで得点を伸ばすには、勉強だけでなく本番のコンディション作りも大切です。どれだけ知識を詰め込んでも、集中できなければ結果は出せません。
ここでは、本番で集中力を保ち、緊張や不安なく本番に臨むための事前準備について紹介します。
「一夜漬け」とはいえ、一睡もせずに受検するのはNGです。時間がもったいないと感じても、仮眠程度でいいので睡眠を取っておくようにしましょう。
徹夜明けは自分が思う以上に集中力が落ち、ケアレスミスが増えます。また、記憶は睡眠で定着します。詰め込んですぐの状態で知識を上手く引き出すのは難しく、睡眠を挟んだ方がスムーズに解けるでしょう。
直前で焦っているからこそ、本番でのパフォーマンスを落とさないように、睡眠を取ることが大切です。
テストセンター受検の場合は、事前に会場までのアクセスを確認しておきましょう。当日に迷ったり時刻を間違えたりしてしまうと、試験前から不安や焦りで集中できなくなってしまいます。
特にテストセンター会場は、ビルの一室などに臨時で設けられていることも多いため、建物名だけでなく、フロアや部屋番号までしっかりと確認しておきましょう。
移動中も安心できれば、直前の復習や仮眠に時間を使えます。
SPIの検査時間は、言語・非言語を合わせて約1時間。短いようで、集中を切らさずに解き切るためには「集中を妨げること」を徹底的に排除しておくことが大切です。
例えば、受検前に満腹になるまで食事をしたり、トイレを済ませておかなかったりすると、問題に集中できなくなるおそれがあります。また、その時の気温に合った快適な服装でなければ、暑さや寒さが気になって集中できないかもしれません。
「受検前は軽食まで」「トイレは必ず済ませる」「快適な服装」の3点を守るだけでも、本番で余計な気を散らさずに問題に取り組めるでしょう。
SPIは通常、数週間かけて何十時間も勉強して高得点を狙う適性検査です。しかし、一夜漬けでもポイントを押さえて勉強しておけば、最低限の得点以上を取ることができます。
まずはSPIの基本や必須の暗記事項を覚えた上で、頻出の問題に集中して練習しましょう。また、徹夜で本番に臨むことはせず、直前だからこそしっかり睡眠を取って集中力を高め、受検することが大切です。
「時間がないから…」と諦めずに最後の一手を打ち、選考突破の確率を上げていきましょう。