SPIをはじめとした「Webテスト」は、様々な企業で実施されている適性検査の一種です。出題範囲の網羅と素早い解答が求められるため、しっかり対策しておかなければ突破することはできないでしょう。
この記事では、Webテストの基本や共通対策を、種類別のポイントとあわせて紹介していきます。
SPI以外のWebテストも時間をかけた対策が必要なので、自分に合った勉強方法で対策を進めましょう。
目次
Webテストとは、パソコンを使ってオンラインで受検する形式の適性検査です。受検しやすい形式のため、多くの企業が選考で用いています。
ほとんどの適性検査に存在する受検形式なので、就活中に受ける機会は多いでしょう。一部の適性検査ではスマホやタブレットにも対応しており、「とにかく多くの人を選考する」という場合にはぴったりの形式といえます。
手軽に受検できる一方で、難易度は他の受検形式と同様です。高度な知識は求められないものの、ノー勉で突破できるほど簡単な試験ではありません。ESや面接と同じく、手を抜かずに対策しておきたい選考プロセスです。
Webテストは、応募者の多い企業が「足切り」をする目的で実施されることが多いです。「5割以下の分野があれば不採用」のように基準を定め、応募者を絞り込むために使われます。
全ての応募者に書類選考や面接を実施していると、企業側は莫大な採用コストが必要になります。そこでWebテストで足切りを行い、コストや手間を大幅に削減しているのです。
ただし、足切りラインを突破していれば良いというものではありません。高い点数を取っておけば面接で一目置かれたり、最終的な合否で迷った時の決め手になる可能性もあるでしょう。全力で対策しておいて損はしないテストといえます。
多くのWebテストでは、システム上でのみ監視が行われます。無関係なソフトや別のタブなどを使ったカンニングは検知されるものの、カメラなどによる監視はほとんど行われません。
「他の人はカンニングしてるのでは?」と感じるかもしれませんが、異常な正答率や解答速度は結果を見れば明らかになります。システムで検知されない方法で不正をしても、突破することはできないでしょう。
Webテストは自宅だけでなくネットカフェや自習室などでも受検できるので、他の企業での用事の合間に済ませることもできます。ただし、集中して臨むべきテストなので、飲食店や野外などで受検するのは避けましょう。
Webテストは種類が多いですが、どのテストでも共通して意識するべき対策があります。これらの基本的な方針を押さえた上で、適性検査の種類ごとに合った対策を行いましょう。
Webテストは対策すればするだけ着実に得点を伸ばせます。満点を狙うことは難しいですが、しっかり力を入れていれば8割や9割といった高得点も視野に入ります。
しかし、直前の詰め込みで高得点を取れるようなWebテストはほとんどありません。毎日30分~1時間程度の勉強を継続し、知識をしっかり定着させなければ高得点は狙えないでしょう。
合計の勉強時間は、SPIや玉手箱では30時間程度が目安とされています。
ただし、これは期間をかけてじっくり勉強した場合の目安です。「1日4時間勉強を1週間」といった無茶なスケジュールでは、学習したことが定着しにくく、急激に点数を伸ばすのは難しいでしょう。
なるべく早くから勉強を始め、1日数十分からでも無理のないペースで継続していくことが高得点への近道です。
ほとんどのWebテストで出題されるのは、中学~高校程度の知識で解ける問題だけです。抜けている知識があるとしても、「解き方が見当もつかない」というレベルの難問は出題されません。
必須の知識を暗記し直し、問題の解答パターンに慣れてしまえば、安定して高い正答率を出すことが可能です。数学に近い内容の「非言語(計数)」は苦手意識を持つ人も多い分野ですが、実際は公式や解答パターンの暗記で対処できます。
そのため、知識を固めて、十分な問題数をこなして慣れていくことが重要です。学校の勉強とは少し異なる内容なので、苦手意識や先入観は捨てて問題に取り組むようにしましょう。
SPIをはじめとした主要なWebテストでは、1問30秒~1分程度で解いていく必要があります。厳密な時間配分は異なりますが、「1分以上かけられる問題はほぼない」という点は共通です。
そのため、どの問題も素早く解くことが前提となっています。正答率以上に、まず時間内に解き終えることを意識して練習していく必要があります。
ハイペースに問題を解くためには、問題のパターンを覚えてしまうことが一番手っ取り早いでしょう。問題文や選択肢を見て、すぐに「この問題はこの解き方」と判断することができれば、大幅な時短ができます。
最初は時間をかけて問題に慣れていき、最終的にはタイマーなどを使って厳密に解答ペースを整えると良いでしょう。
繰り返しの練習では、つい解きやすい得意分野を優先してしまうこともあります。しかし、Webテストでは得意分野を伸ばすよりも「苦手分野をなくす」ことを優先するべきです。
例えば、既に7割程度正答できている得意分野をいくら練習しても、8~9割程度までしか伸びません。結果的には、その分野の得点は1~2割しか増えないことになります。
一方、正答率が4割を切るような苦手分野を6~7割まで伸ばせば、得点としては2~3割以上増えます。そのため、苦手分野をなくしていった方が効率的に得点を伸ばせるのです。
また、得点に大きな偏りがある結果は評価されにくい傾向にあります。仮に「言語8割・非言語4割」という結果になった場合、「非言語が低すぎる」と判断され、言語の高得点が無駄になる可能性が高いです。
Webテスト対策は限られた時間で進める必要があるため、必ずしも完璧に仕上げられるわけではありません。同じ勉強時間でも、効率的に点数を伸ばせる方法を選びましょう。
SPIは適性検査の中では一番実施企業が多いWebテストで、就活中に受ける機会は多いでしょう。
科目は言語・非言語・性格検査が必出となっており、オプション科目として英語と構造的把握力も実施される可能性があります。
全体的に1問1問は短めであり、時間がかかる長文読解などの問題は数問程度しか出題されません。難易度も標準的で、全くわからないというレベルの問題が出ることはないでしょう。
英語と構造的把握力は出題頻度が低いため、言語と非言語を中心に対策を進めましょう。言語は語句の知識が求められ、非言語は基礎の公式や計算力が求められます。
出題範囲は広めなので、早いうちから全ての問題に触れておくと全体像を掴みやすいでしょう。
瞬発力と暗記力を試される問題が多いため、繰り返しの練習で問題パターンをとにかく詰め込んでいくのがおすすめです。
玉手箱はSPIと比べて難易度が高めで、人気企業での実施が多い傾向にあります。科目は言語・計数・英語・性格検査の4つで、この中から企業が選んだものだけが出題されます。
「言語・計数・性格検査」で実施する企業が多いですが、「言語・性格検査」のように少ない科目で実施される場合もありす。また、英語に関わる業務がない場合、英語科目は出題されないことが一般的です。
ほとんどの問題が図表や長文を用いた内容になっているため、1問1問に時間がかかりやすい点が大きな特徴です。制限時間にも余裕がなく、解き方を知らないと1問も解き切れない可能性があります。
SPIよりも出題範囲は狭いですが、暗記で解決できる問題はほとんどありません。解き方のパターンを学んだ上で、実践的な思考力を鍛えていく必要があります。
暗記を繰り返すような「楽な勉強法」と呼べるものがないことから、難しいと感じる人も多いWebテストです。
CABはIT系の企業を中心に実施されることが多いWebテストです。言語にあたる問題はなく、非言語の能力を問う問題と性格検査だけが出題されます。
ただし、非言語といっても、計算力を求められる問題は四則逆算のみです。法則性・命令表・暗号はどれも図形の変化をテーマにした問題で、計算力よりは「論理的な思考力」が試されるテストといえます。
図形問題の3科目は内容がかなり独特で、初見ではまず解き方がわからず困惑してしまうでしょう。
難易度は高いですが、解答パターンにそれほど幅はないため、慣れてしまえば安定して高得点を出すことも可能です。
CABを出題するのはそもそも人気企業であることも多く、ボーダーラインは高い傾向にあります。必要最低限の得点を狙うよりも、「高得点を取れるだけ取っておく」という意識で対策をしましょう。
CUBICは、近年になって実施企業が増えつつあるWebテストです。SPIや玉手箱ほどのシェアはないものの、幅広い業界で採用されているため、一度は受検する機会があるかもしれません。
科目は「言語・数理・図形・論理・英語・性格検査」の6種類と多いですが、「数理・図形・論理」はいわゆる非言語にあたります。そのため、「言語・非言語・英語・性格検査」と捉えても良いでしょう。
問題はSPIや玉手箱に近い内容もありますが、CUBIC独自の問題も存在します。数理の「n進数」問題や、図形の「体積・面積」問題などは、他のWebテストではあまりみられない形式です。
全体的に中学~高校の知識で解けるようになっており、特別難しいわけではありません。SPIと玉手箱の知識を流用できるものもあり、そちらを先に受けた人にとっては取っ付きやすい内容です。
ただし、練習手段に乏しく、基本的には参考書で勉強していく必要があります。まとまった時間を確保しなければならない分、SPIなどの対策より負担に感じることもあるでしょう。
TG-WEBはコンサルなどの人気企業を中心に実施されている、難易度の高いWebテストです。科目は言語・計数・英語・性格検査と標準的ですが、「新型」と「従来型」で内容が異なります。
新型のTG-WEBではSPIや玉手箱に近い問題が出題されますが、制限時間がかなり厳しめです。1問20秒以下を目安に解いていかなければ、時間内に解き切ることはできないでしょう。
一方、従来型は解答時間に余裕があるものの、問題自体の難易度が高めです。言語では長文問題を中心に出題され、計数には図形や暗号を含む複雑な問題が含まれています。
従来型は問題数も少ないことから、1問のミスが結果に大きく影響します。新型以上に対策を仕上げ、高得点を安定して取れるようにしておく必要があるでしょう。
それぞれ出題内容が全く異なるため、事前に志望企業でどちらが実施されるのかを調べてから対策を始める必要があります。
就活サイトなどで過去の実施事例を確認しておくようにしましょう。
Webテストは種類によって出題内容が異なるので、受検予定のテストに合った対策をする必要があります。そのため、いきなり問題の練習を始めるよりも、まずは形式の理解から始めるべきです。
Webテストごとの大まかな概要を確認するためには、Youtubeの解説動画が最適です。「勉強」という感覚を持たず気軽に見ることができ、視覚的にもわかりやすいでしょう。
ただし、動画だけはどうしても情報量が限られてしまうので、本格的に対策する段階では他の手段を使う方がおすすめです。
Webテスト対策には、対策本を使うのが無難な方法です。基本から練習、効率的な解法までコンパクトにまとまっているので、1冊だけでも対策を完結させられます。
特に実施割合の高いSPIと玉手箱は、対策本の種類も豊富に揃っています。収録内容や解説のスタイルなどを見比べて、自分に合うものを選びましょう。
ただし、対策本を使った勉強は筆記ベースになることが多いです。Webテストはパソコンやスマホから受けることになるため、本番になってから解く感覚の違いで戸惑うこともあります。
どのタイミングでもいいので、練習サイトや模擬試験なども併用してWebテストの解答形式に慣れておきましょう。
実施率の高いWebテストは、専用の対策アプリが配信されていることが多いです。SPIは最もアプリの種類が豊富であり、次点で玉手箱やCAB用のアプリもいくつか確認できます。
対策アプリは手軽さが強みで、ちょっとしたスキマ時間も勉強時間に充てることができます。まとまった時間がなくても継続できるので、忙しい就活中にWebテスト対策をするなら活用したい手段です。
無料・有料の区分やレビューなども参考にして、使いやすそうなものを選んでみましょう。
模擬試験は問題個別の対策には向きませんが、実力のチェックをするためには効果的です。練習を繰り返していて「実際に何点取れるのかわからない…」と悩んだ時は、そのWebテストの模擬試験を受けてみましょう。
オンラインで実施しているものが多いので、予定が合えば気軽に受けることができます。結果から苦手分野がはっきりすれば、対策をより効率的に進めることも可能です。
また、単に試験という形式に慣れておくだけでも十分に効果があります。本番では必ず実力を発揮できるわけではなく、緊張や不安から余計なことを考えてしまうこともあるでしょう。
しかし、模擬試験で本番に近い緊張感を体感しておけば、本番では落ち着いて実力を発揮しやすくなります。対策中でも仕上げの段階でも役立つため、余裕があれば模擬試験の受検を検討してみましょう。
①案内メールの受検用URLにアクセス
②身分証や受検環境の要件を確認
③試験開始後の中断は原則不可能
④結果は確認できない
Webテストを受検するかどうかは、企業から送られてくる案内メールなどを見れば判別できます。テスト用のURLが記載されていたら、すぐにアクセスして何のURLなのかを確認しましょう。
Webテストの場合は、受検用URLからログイン画面や確認事項、試験開始前の画面まで進むことができます。一方、「会場や日時の予約」などへ進む場合は、Webテストではなくテストセンター受検である可能性が高いです。
試験開始前の画面まで進んでしまっても、実際に「開始」を押さなければ問題ありません。一度ページを閉じ、受検期限なども確認した上で対策に移りましょう。
また、深夜~早朝ごろはメンテナンスが行われ、試験を開始できないWebテストもあります。期限ギリギリで受検しようとしてメンテナンス中だった場合、未受検で落ちてしまいます。期限には余裕を持って受検することが大切です。
Webテストによって、受検前に準備しなければならないことは異なります。特に、開始前に身分証の提示を求められたり、Webカメラによる監視が必須という場合は、その場で準備することが難しいです。
案内メールやWebテストのページの注意事項を熟読し、試験を開始できないようなトラブルは未然に防ぎましょう。
また、ほとんどのWebテストでは無関係なソフトや他のウィンドウは閉じる必要があります。こちらはシステムによって検知されるものであり、隠そうとしても必ずバレます。不正を疑われないように注意しましょう。
Webテストの試験を開始したら、最後まで中断することはできません。電話やトイレ、来客といった私的な用件での離席は認められていないことが一般的です。
1時間以上かかるWebテストが多いため、余裕を持って1時間半~2時間はスケジュールを空けておきましょう。食事やトイレも済ませておき、テストに集中できる環境を自分で作る必要があります。
ただし、機材やネット回線のトラブルといった、「やむを得ない事情」による中断は配慮してもらえる可能性が高いです。焦らずにすぐWebテスト側のサポートへ連絡し、再開や再受検をお願いしましょう。
Webテストの受検後、自分の結果を確認することはできません。選考のために企業へデータが送られるのみであり、具体的な得点は推測するしかないでしょう。
企業によっては、性格検査の分析結果について面接で触れられることもあります。しかし、能力検査の得点が明かされることはまずありません。
とはいえ、どんな結果でも面接は全力で臨むべきものなので、受検後に気にしすぎる必要はないでしょう。
Webテストは手軽に実施できることから、就活でも頻出の選考プロセスとなっています。極端に難しい問題は出ませんが、対策なしで突破するのは厳しい内容です。
Webテストの主な実施目的は、「足切り」による応募者数の絞り込みです。結果が基準に満たないと面接でアピールするチャンスもなくなってしまうので、少なくとも足切りラインは突破できるように対策しましょう。
対策の際は、Webテストの種類に合った方法で勉強することが大切です。「どれも似たようなもの」と油断してかかると、問題形式の違いに躓いてしまいます。SPIをはじめとした主要なWebテストの特徴を確認し、それぞれを個別で勉強していきましょう。