目次
Web適性検査とは、パソコンを使ってネット上で受検する適性検査です。
以前はペーパーテストが主流でしたが、より多くの応募者を効率的に絞り込むため、最近はWeb適性検査を実施する企業が急増しています。
Web適性検査は、エントリーシート提出時など選考の早い段階で行われることが多いため、面接に進むための最初の関門とも言えます。
検査は「自宅受検形式」か「テストセンター形式」で行われ、「SPI」「玉手箱」「C-GAB」「Web-CAB」「TG-Web」などの適性検査が主流です。
企業によって実施される適性検査の種類や形式が異なるため、自分が受検する試験内容に合った対策が必須です。
Web適性検査とペーパーテストの最大の違いは、受検者の回答状況によって出題内容や問題数、難易度が変化することです。
1問ごとにかけられる時間も非常に短く、進むほど難易度が高くなる傾向があります。
しかし、事前に問題傾向や制限時間を把握し、練習問題を繰り返し解くなどの対策を行うことで高得点を狙うことができます。
また、Web適性検査は新卒採用だけでなく中途採用でも導入されており、企業によっては転職希望者も受検する可能性があります。
早めの情報収集と対策で、Web適性検査を突破しましょう。
Web適性検査もWebテストは、どちらも自宅などからオンラインで受検する形式の適性検査です。
どちらも同じ意味合いで使われることが多いですが、適性検査によってはテストセンターとWebテストを明確に分けている場合もあります。
例えばSPIでは、テストセンターのオンライン会場形式はカメラ・マイクによる監視が行われますが、Webテスティング形式はシステム上の監視しか行われません。また、受検方法も異なります。
このように、Web適性検査が「Webから受けられる適性検査全般」を指すのに対して、Webテストは「適性検査の受検形式の一つ」を指していることがあります。
企業から「Webテスト(Webテスティング)を実施」といった案内が来た場合、特定の受検形式を指している可能性があるため、注意が必要です。
Web適性検査には、いわゆる「足切り」の役目があります。
大手企業・人気企業には数百・数千人の応募が殺到するため、限られた期間内で全ての応募者と面接することは現実的に不可能です。
そこでWeb適性検査を行うことで、応募者を一定数まで絞り込めるので、企業側は時間やコストを節約できるメリットがあります。
Web適性検査は、企業が求める人物像と応募者がマッチしているかどうか、客観的に評価するための手段です。
面接だけでは、採用担当者の個人的な好みが評価に影響する可能性がありますが、Web適性検査を実施することで数値化された結果が得られ、客観性が高まります。
また、面接では把握しきれないスキルや人柄を汲み取ることもできます。
Web適性検査を導入することで、首都圏以外に暮らす遠方の人でも、手軽に適性検査を受けられるようになりました。
住んでいる場所にかかわらず、意欲的な人材に出会えることは、企業側にとって大きなメリットと言えるでしょう。
企業の選考を受ける側も交通費の節約になるため、地元企業以外にも挑戦できるなど、就職活動の幅を広げられます。
リアル会場:指定された会場に実際に足を運ぶ
オンライン会場:カメラで監視された状態で、自宅など自由な場所でパソコンを使う
テストセンター形式は、企業が委託した会場で受検する「リアル会場」と、自宅などの環境を整えて受ける「オンライン会場」に分かれます。どちらも自分の都合の良い日に受検することができます。
テストセンター形式の多くは電卓やメモ用紙の使用が可能であり、他形式に比べると解答しやすい形式です。
この場合、性格検査は自宅などで事前に済ませ、当日は能力試験のみ受検するのが一般的です。
リアル会場の場合は、筆記用具やメモ用紙は会場で準備されたものを使い、オンライン会場の場合は基準に合ったものを自分で準備します。
オンライン会場の場合は、Webカメラの設定や画面共有を行うので、案内文をよく読んで事前に受検環境を整えておく必要があります。
リアル会場でもオンライン会場でも、難易度に差はありません。しかし、出題範囲や形式が異なる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
なお、テストセンター形式で受検したテスト結果は、1年以内であれば使い回しすることができます。
企業から送られてくる受検用URLにアクセスし、24時間いつでも都合の良い場所で受検できます。
テストセンターのオンライン会場とは異なり、カメラによる監視は行われません。
ただし、AIによる監視システムが導入されている場合もあり、気を引き締めて受検することが大切です。
自宅受検形式は、他の形式に比べて難易度が高くなっています。テストセンター形式と科目が異なる試験もあるため、出題範囲はしっかり確認しましょう。
また、結果の使い回しもできないため、同じ種類のWeb適性検査でも企業ごとに受検する必要があります。受検漏れにならないよう注意しましょう。
自宅受検は、ネット環境やPCの設定、集中して取り組める部屋の確保、使いやすい電卓の準備など受検環境を整えておくことも重要です。
なお、締切直前はアクセスが集中して、受検サイトに繋がりにくくなることもあります。受検できずに落ちることがないように、時間には余裕を持って進めましょう。
言語:読解力や語彙力を測る
非言語:計算力や図形判断力などを測る
英語試験:外資系企業などでオプションとして追加される
能力検査は、仕事をする上で必要な基本的な学力・知的能力を測定する検査です。
情報を正確に判断する力や論理的な思考ができるか試される試験です。
問題は選択式で、答えを1つ選んで次の問題に進みます。1問ずつに制限時間が設けられているテスト・形式もあるため注意しましょう。
語彙や計算問題などの暗記や簡単な数式で解ける簡単な問題から、複雑な図形問題まで、試験の種類によって科目の構成や難易度は様々です。
特に非言語分野の科目は、初見では太刀打ちできない難問も出題されるため、練習問題や過去問のチェックは必須です。
練習問題を繰り返し解き、解き方のコツを掴んでおきましょう。
性格検査は、行動特性や人柄、思考など、応募者の内面の特徴を知るための検査です。
ストレス耐性やチームワークなど、企業が求める人物像や社風とマッチするかどうかの判断材料となります。
質問に対して「はい・いいえ」や「よく当てはまる〜全く当てはまらない」の尺度の中から回答を1つ選択する形式が一般的です。
性格検査に正解はありませんが、偏った解答や一貫性のない解答をすると、適切な結果が得られない可能性があります。
試験ごとに性格検査の傾向を確認し、自己分析をしっかり行った上でテストに臨みましょう。
SPI3はリクルートマネジメントソリューションズ社が提供する適性検査です。
先述した「テストセンター」「Webテスティング」、企業内のPCで受検する「インハウスCBT」、指定された会場で筆記試験形式で行われる「ペーパーテスティング」の4つがあります。
約70%がテストセンター形式で受検しています。
試験内容は、能力検査(言語・非言語)と性格検査で、オプションで構造的把握力検査と英語検査が追加になる場合があります。
テストセンターとWebテスティングでは問題傾向が異なるため、それぞれ対策が必須です。
難易度は中学〜高校卒業レベルで、対策ができていれば決して難しい試験ではありません。
SPIは、日本で最も使われている採用テストなので、対策本や練習問題の無料サイトも豊富です。
特に頻出業界として知られているのは商社、不動産、コンサル、金融など、就職難易度が高い業界です。高得点勝負となることが考えられるため、徹底して対策して下さい。
これから就職活動の準備をする人は、手始めに対策しておくと良いでしょう。
玉手箱は日本SHL社が提供している適性検査の1つで、自宅受検形式のWeb適性検査で最も使われています。
インターンの選考で実施されることも多く、大手・人気企業を志望する人は対策必須の適性検査です。頻出業界も、商社、証券・投資銀行と就活生に人気な大手企業ばかりです。
能力検査は計数(図表の読み取り・四則逆算・表の空欄推測)、言語(理論的読解・趣旨判定)、英語(長文読解・論理的読解)で構成されており、これらに加えて性格検査も実施されます。
企業ごとに組み合わせが自由で、例えばA社は「計数:図表の読み取り、言語:論理的読解」、B社は「計数:四則演算、言語:趣旨判定、英語:論理的読解」のように出題内容が異なります。
SPIのように「言語」の中でも複数の科目が出題されるのではなく、玉手箱では「係数」の中の「四則逆算」が選択された場合、四則逆算以外の問題は出題されません。
予め問題の種類がわかれば絞って対策できますが、その分より速い計算スピードや判断力が求められます。
CABは日本SHL社が提供している適性検査です。
コンピュータ職適性テストで、主にSEやプログラマーなどIT業界の専門職の採用試験で行われています。
CABは受検形式によって名称が異なり、ペーパーテストは「CAB」、自宅受検形式のWeb適性検査は「Web-CAB」と呼ばれています。
「Web-CAB」はペーパーテストの「CAB」よりも格段に難易度が高いと言われています。
試験内容は、能力検査(四則逆算・法則性・命令表・暗号)と性格検査の5つです。
論理的思考を問う問題が多く、学校で習った内容とは傾向が全く違う問題が出題されるため対策は必須です。
特に、法則性・命令表・暗号は解き方を知っているか、いないかで大きな差が出ます。
予め問題形式を把握して、解法を身につけておきましょう。
GABは、日本SHL社が提供している適性検査で、総合商社や金融業界など新卒総合職の採用試験で実施されています。
自宅受検形式の「Web-GAB」とテストセンター形式の「C-GAB」があります。
Web-GABは能力検査(言語:長文読解、計数:図表の読み取り)と、性格検査の3つから構成されています。
C-GABの出題内容は、能力検査(言語:論理的読解、計数:図表の読み取り、英語:長文読解)と、性格検査です。
電卓は使えないので、計算スピードを磨いておく必要があります。
GABは論理的な思考力・素早い判断力を求められ、難易度の高い問題が多く出題されます。
実践問題を多くこなし、スピーディーに解答する練習をしましょう。
TG-WEBは、ヒューマネージ社が提供している適性検査です。
自宅受検型とテストセンター形式があり、AIが自宅受検者を監視する「TG-WEB eye」が注目されています。
試験内容は、旧型と新型で異なりますが、全てのWeb適性検査の中で最も難易度が高いと言われています。
旧型能力検査は、言語は長文読解・空欄補充・並べ替えなど、計数は暗号・展開図・推論など、判断力や論理的な思考力を問う問題が出題されます。
一方で新型は、言語は語彙や語句の問題、計数は方程式や四則演算、図表を使った問題が出題されます。
旧型よりも出題数が多く、スピードが求められる試験となっているため、難易度が高いです。
能力検査に加えて、性格検査が実施され、英語(長文読解)はオプション検査となっています。
TG-Webは性格検査の項目が豊富で、応募者の人柄を多角的に分析できる試験検査です。
簡単に高得点を取ることは難しい試験ですが、地道に対策して合格ラインを目指しましょう。
Web適性検査は種類によって形式や出題傾向が異なります。
効率よく勉強するためには、試験内容に合わせた対策が必要です。種類と形式を確認し、受検する場所や日程を早めに決めることが重要です。
また、自宅受検形式とテストセンター形式で出題範囲が異なるので、参考書でチェックし満遍なく対策しましょう。
Web適性検査の種類は、受検用のURLから判断できる場合があります。
早めに準備したい人は、就活サイトの口コミなどを参考に、志望企業が過去にどの適性検査を実施したのか調べてみましょう。
Web適性検査は制限時間が来ると自動で次の問題に進んでしまうシステムです。
ペーパー試験に馴れている学生でも、パソコンで受検となると意外に慌ててしまいます。
Web適性検査の対策をするときは、本番を想定してパソコン上で問題を解く練習も重要です。
無料サイトを活用して、ネット上で練習問題や模試に挑戦しましょう。
SPI対策模試では、たった5分で自分のレベルを診断することができます。
さらに、本番想定の本格的な模試まで無料で解くことができるため、試験慣れから最後の仕上げまで幅広く役立つツールとなっています。
Web適性検査は、時間との勝負と言っても過言ではありません。
まずは1問にどのくらい時間をかけられるのか、問題数と全体の制限時間から時間配分の目安を割り出しましょう。
Web適性検査全体でみると、暗記系や簡単な計算問題であれば10秒前後、読解や図形問題は20秒から長くても1分以内での解答が必要です。
試験や形式によってはさらにスピードが求められる問題もあるため、自分なりの目安を細かく設定しておきましょう。
目安がわかったら、ストップウォッチで実際にかかっている時間を計り、そのギャップを埋める練習をします。
わからない問題は立ち止まって、じっくり解説を読んで理解できるようにしましょう。
解法を覚えてしまえば、解答スピードはどんどん早くなります。
繰り返し問題を解いて、スピードアップを目指しましょう。
Web適性検査の合格点は明確に公表されていません。
基準は企業ごとに異なり、特に大手・人気企業は高いボーダーラインを設けている場合があります。
エントリーシートとWeb適性検査の結果を合わせて評価する企業もありますが、Web適性検査の成績が著しく悪い場合は面接に進めない可能性もあるため油断は禁物です。
決して満点を狙う必要はありませんが、6〜7割以上の正答率をボーダーにしている企業が多いようです。
特にWeb適性検査は、ペーパーテストに比べ難易度が高いとされています。
確実に得点するためには、簡単な問題でケアレスミスをしないこと、難易度の高い問題で正答できるよう解答スピードを上げることがポイントです。
Web適性検査を突破することが、面接試験に進むための重要なステップとなります。
ボーダーラインを意識して、しっかり対策しましょう。
自宅受検型のWeb適性検査の場合、決められた期日までに検査を受ける必要がありますが、締め切り直前の受検はNGです。
締切を超過してしまうと受検できなくなってしまうだけでなく、どの企業も締め切り直前は受検が集中し、サーバーダウンなどの危険性があるからです。
ESの提出後に案内が送信されることの多いWeb適性検査では、ESに書いた内容がどれだけ良くても、テストを期日までに完了させなければ応募したことにはなりません。
いつでも受けられるからと油断せず、余裕を持った受検日を決めて時間を確保しておきましょう。
また、自宅受検型は結果を使い回しできないので、一発勝負のテストとなります。
計画的にテスト対策するためにも、スケジュール管理をしっかりしましょう。
自宅でWeb適性検査を受けるには、安定したネット環境があるかどうかが重要です。
Wi-Fiでも可能ですが、できれば有線のほうが安心です。
家族と同居している人は、集中してテストを受けられる部屋を確保し、場合によってはスケジュールを共有しておいたほうが安心です。
また、パソコンの動作環境は、企業から案内されるケースがほとんどです。
推奨OSやブラウザなどを確認して、試験前に最新版にアップデートしておきましょう。
Web適性検査では、わからない問題を調べながら解答する・第三者に手伝ってもらう・ネットに出回っている回答集を見るなどの行為は禁止されています。
万が一、不正がバレてしまえば、内定取り消しはもちろん、社会的な信用を失ってしまいかねません。
もし、運良く入社できたとしても、不正した事実をずっと背負いながら働くことになります。
実力が伴っていなければ、活躍することもできないでしょう。
就職試験は企業との信頼関係が何より大切です。
Web適性検査は事前に対策しておけば、全く解けないということはないので、努力を惜しまず自分の力で突破しましょう。
Web適性検査にはそれぞれ特徴があり、一つの対策だけで済ませることは困難です。出題形式や問題範囲をしっかりと理解した上で勉強を進める必要があります。
ほとんどのWeb適性検査では、中学~高校卒業レベルの知識があれば解ける問題しか出題されません。十分な対策を積めば、無理なく高得点を狙えるでしょう。
応募企業が実施している適性検査の種類を調べ、それに合った対策を進めていくことが重要です。