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SPIとは、性格特性や基礎的な知的能力を測定するための適性検査です。
企業はSPIを用いて、応募者の人となりや考え方、基礎能力などを確認し、どのような仕事に向いているのか、どのような組織になじみやすいのかなどを総合的に判断する材料としています。
試験は学力テストのように問題を解いていく「能力検査」とアンケート形式の「性格検査」で構成されています。
能力検査では「言語(国語)」「非言語(算数)」が出題されます。
どちらも中学〜高校レベルの問題が出題されるので、問題自体の難易度は低いといえるでしょう。
しかし、SPIは制限時間が短く、問題数が多いのが特徴です。そのため、1問あたり数十秒から1分程度で解答しなくてはなりません。
じっくり考えればかければ解ける問題であっても、時間が足りなくなってしまうことが多々あります。
問題自体の難易度は高くありませんが、制限時間が短いことで難しく感じることも多いです。
SPIは素早く正確に解答することが求められます。SPI対策を行う際は、正確さだけではなくスピード(解答時間)も意識しながら練習を繰り返しましょう。
SPIの受検方式は4種類あり、受検方法によって難易度が異なります。そのため、それぞれの特徴を把握しておくことが重要です。
「インハウスCTB」は現在ほとんど使用されていないため、今回はインハウスCTBを除き、企業で使用されている3種類のテスト形式について解説します。
会場 | リクルートマネジメントソリューションズが運営する専用会場 |
受検方法 | パソコン |
回答方法 | 選択式 |
所要時間 | 65分(適性検査 35分/性格検査 30分) |
テストセンターは、SPIを提供するリクルートマネジメントソリューションズ社が用意した専用のテスト会場のパソコンを使って受検する方法です。
指定された受検期間の中から、自分の都合の良い日時を選択して会場に赴き受検します。
現在、最も多く使われている受検方法で全体の約7割を占めています。
テストセンターで出題される問題は「中学〜高校レベル」となるので、問題の難易度は低いといえるでしょう。
しかし、テストセンターでは、一問一問に制限時間が設けられており、時間が来ると自動的に次の問題に移行します。
できない問題を後回しにしたり、前の問題に戻って解くといったことができないので注意が必要です。
テストセンターでは、解答した問題の正答率によって問題数や内容が異なります。そのため、短時間で正確に解答することが求められます。
基本の公式や解法を覚えていないと解けない問題が多いため、一通り復習しておくことが大切です。
制限時間内に多くの問題を解けるかが重要なので、時間を意識した対策をしておくと安心です。
会場 | 企業 |
受検方法 | 紙 |
回答方法 | 選択式(マークシート) |
所要時間 | 100分(能力検査70分/性格検査30分) |
ペーパーテストとは、応募先の企業が用意した会場でマークシートに回答を記入して提出する受検形式です。
パソコンで受ける試験とは異なり、ペーパーテストでは問題の出題数が決まっています。
「言語問題」は30分で40問、「非言語問題」は40分で30問となります。
1問あたり1分未満での解答が求められるので、素早く解答する練習をしておく必要があります。
出題範囲は他の試験に比べて狭いですが、全員が同じ問題を解答するため、より難しい問題が出題されることが予想されます。
そのため、ペーパーテストの難易度は他に比べ高くなりやすいといえます。念の為、応用問題などにも目を通しておくと安心でしょう。
なお、ペーパーテストでは問題を解く順番に指定がありません。時間をかけず確実に解ける問題から解いていき、時間がかかる問題を後にするといった進め方をすることもできます。
まずは、試験開始と同時に全体の問題に目を通し、時間配分を考えてから、問題を解いていきましょう。
冷静に問題を確認すれば、どの問題が確実に点数を取れるのか、時間を割くべき問題がどれなのかを把握できます。全体像がわかった状態で問題を進めることができるので、焦らずに取り組めるでしょう。
まずは問題を一通り確認してから、試験に取り組むことをおすすめします。
会場 | 自宅 |
受検方法 | パソコン |
回答方法 | 記述式 |
所要時間 | 65分(能力検査35分/性格検査30分) |
WEBテストは、インターネットに接続できるパソコンから受検する方法です。
自宅や学校などインターネット環境の整った場所であればどこから受検しても問題ありませんが、スマートフォンでの受検は認められていません。
指定された受検期間内に、企業から送られてきた受検用URLにログインして受検します。場所や時間の指定がないため、自分の都合の良い時間で受検することができます。
出題される問題は他の試験同様、中学〜高校レベルなので、問題の難易度は決して高くありません。
しかし、WEBテストでは他の試験と異なり、電卓の使用が認められています。電卓の使用が前提になっているため、計算問題そのものが難しく設定されていることがあります。
電卓を使ってスムーズに解答を求めるためにも、電卓の使い方には慣れておきましょう。
また、記述式の問題も出題されるため、答えを入力する時間も考慮しなければなりません。
SPIの能力検査では、「言語分野(国語)」「非言語分野(数学)」の2つにより構成されています。
企業によってはオプション検査として「英語」や「構造的把握力」が含まれている場合もあります。
「英語」は業務において英語が必要となる企業(外資系企業や旅行代理店など)、「構造的把握力」は論理的思考力や問題解決力が求められる企業(総合商社やコンサルティングファームなど)で課されている傾向にあります。
オプション検査は、企業によって異なるため、自分が選考を受ける企業が行っている試験内容を必ず確認しましょう。
今回は、必須である「言語分野」「非言語分野」の難易度について解説します。
SPIテストの言語能力検査は、中学〜高校レベルの問題が出題されるので、難易度は比較的低いといえるでしょう。
言語問題は、大きく5つの分野に分けられます。
出題分野 | ペーパーテスト | テストセンター | WEBテスト |
二語の関係 | ◎ | ◎ | |
語句の意味 | ◎ | ◎ | |
語句の用法 | ◎ | ◎ | |
文章整序 | ○ | ◎ | |
空欄補充 | ○ | ○ | ◎ |
中でも「二語の関係」「語句の意味」「語句の用法」はペーパーテスト、テストセンターどちらでもよく出題されているので、しっかり押さえておきましょう。
言葉に関する問題は、頻出語句や単語が多く出題されるので、頻出問題を分析してしっかり暗記をしておきましょう。出題傾向を把握しておくことが重要です。
特に「二語関係」「熟語の成り立ち」などの語彙問題は、短時間の学習で効果が出やすい分野です。
過去の出題形式に慣れておくと、得点アップが期待できます。
また、「文章整序」「空欄補充」はどの形式でも出題される傾向にあります。
文章に関する問題では、短時間で長文を読み、解答をしていかなければいけません。素早く正確に解答していく必要があるので、ハードルが高くなります。
読解能力が必要な問題の対策には、読書をするのがおすすめです。日頃から長文を読む訓練をしておくことで、文章に慣れることができます。
語彙力を鍛えることもでき、面接でも「最近読んだ本について」聞かれることもあるので、面接対策にもなります。
「言語問題」は対策することで高得点を取ることができる分野なので、問題にスムーズに解答できるよう、日頃から語彙力を高める取り組みをしておきましょう。
SPIテストの非言語能力検査は、中学〜高校レベルの問題が出題されます。
文系・理系問わず学習している「高校数学I・Aまで」の学習範囲の中から問題が選出されることがわかっているため、応用力を必要とするような複雑な数学問題は出題されません。
しかし、非言語分野は言語分野に比べ、難易度は高いと考えられます。
短時間で内容を理解し、情報を組み立て、解答を導き出す必要があるため、難しいとされています。
非言語問題は大きく10つの分野に分けられます。
出題分野 | ペーパーテスト | テストセンター | WEBテスティング |
推論 | ◎ | ◎ | ◎ |
場合の数 | ○ | ○ | ◎ |
割合 | ○ | ○ | ◎ |
確率 | ◎ | ◎ | ◎ |
金額計算 | ○ | ○ | ○ |
分担計算 | ○ | ◎ | ○ |
速度算 | ○ | ◎ | ○ |
集合 | ◎ | ○ | ◎ |
表の読み取り | ◎ | ◎ | ◎ |
特殊計算 | ○ | ○ |
非言語では「推論」が多く出題される傾向にあります。特にテストセンターで正答率が高い場合、後半はほとんどの問題が推論の問題になります。
推論は「順序」「命題」「正誤」などさまざまな問題形式があるので、問題に慣れるまでに時間がかかることが考えられます。
推論で出題される問題パターンは決まっているので、解法を理解しスムーズに問題を解けるようになることで、高得点に繋がるでしょう。
また「順列・組み合わせ」の問題も多く出題されます。順列・組み合わせの問題は似ているため、どちらの問題なのか混合しやすいです。
そのため、問題の解き方を覚えた上で、区別できるようになりましょう。
その他にも「損益算」「速度算」「通過算」などの特殊な計算は、暗算で解くと計算ミスをしてしまう可能性があります。
文章を図式化し情報をまとめながら解くことで、効率化にもなり、ミスを防ぐことができます。
このように非言語の中でも、それぞれの分野ごとに解き方のコツや対策法があるので、非言語の対策には時間がかかると捉えておくべきでしょう。
非言語は、公式や解答パターンなどの基礎となる部分を暗記しているだけで有利になる科目です。
問題を見た瞬間に公式や解法がパッと浮かぶまで、問題を繰り返し解いて傾向を掴みましょう。
SPIテストの難易度は高くないですが、問題数が多いため高得点を取るのが難しいです。
素早く正確に解答をすることが非常に大切です。
日頃の勉強段階から、時間を測りスピードを意識して問題に取り組んでみましょう。
時間制限があると焦ってミスすることも増えるため、時間に追われる緊張感に慣れておく必要があります。
言語問題では、先に問題に目を通し、解答に結びつく箇所を探し出すことで、時間短縮になります。
「二語の関係」は1問あたり20秒、「長文読解」や「文の並び替え」は1問あたり1分程度で解答できるようにすることが求められます。
非言語問題は、解法パターンを瞬時に思い出せるようにしておくことで、解答時間を短縮することができます。
「推論」は1問あたり1〜2分程度、「計算問題」は30秒〜1分程度で解答するのが目安になります。
メモ用紙や余白を活用し、図式や記号で問題を整理して解答する方法もおすすめです。
SPIで出題される問題は、解き方に一定のパターンがあります。
問題を見ただけでどの公式を使うのか、どの解法が当てはまるのかを瞬時に判断することができれば、効率的に問題を解いていけます。
また、SPIでは制限時間が短いため、いかに素早く解答できるかがポイントになります。
そのため、頻出する問題を優先的に対策しましょう。
対策としては、一冊の問題集を繰り返し解き、問題に慣れることが一番です。
複数の問題集をやり込まなくても、頻出する問題のパターンをしっかりと押さえることが大切なので、一冊の問題集を徹底して対策するのがおすすめです。
SPIでは、問題の傾向を把握できているかが結果を左右します。
苦手な分野を1つでも克服できるように問題を分析し、確実に解けるように対策しましょう。
問題集を繰り返し解き、問題に慣れてきたら、模試を活用しましょう。
問題集でスムーズに問題が解けていたとしても、模擬試験では緊張で思うように問題が解けないかもしれません。
緊張感がある模擬試験を受けることで、苦手分野や時間配分についての問題点を把握することができます。
SPI対策模試では、無料でSPIの問題を再現した模擬試験に挑戦できます。5分程度で終わる簡単なバージョンも用意されているので、対策を始める前にも役立ちます。
ペーパーテストでは、Web形式の試験とは異なり、問題1問ずつに制限時間がありません。
また、問題を解く順番に指定がないため、時間をかけず確実に解ける問題から解いていき、時間がかかる問題を後回しにするといった進め方をすることができます。
そのため、ペーパーテストでは解答しやすい問題から解いていくのもおすすめです。
まずは、試験開始と同時に全体の問題に目を通し、時間配分を考えてから、問題を解いていきましょう。
解答しやすい問題を素早く解くことで、時間のかかる難易度の高い問題に多くの時間を割くことができます。
難易度の高い問題に最初に取り組むと時間が足りなくなってしまう可能性があるため、難しい問題は後回しにする習慣を身につけましょう。
前述した通り、SPIでは主に3つの受検形式があります。
企業によって試験される受検方法が異なるため、普段「対策本」でしか勉強していない人が、いきなりWebテストを受けると操作に苦戦してしまう場合があります。
自分がエントリーする企業がどの形式のテストを実施しているのかを予め確認し、事前に必ず本番と同じ環境での操作を行っておきましょう。
無料で受検できるWEBテストの模試や、対策本に付属しているペーパーテスト形式の模試など、活用できるものはたくさんあります。
本番に近い形式でのテストを経験することが重要です。
SPIは頻出する単元を押さえ、優先的に対応することで効率的に対策することができます。
ここが押さえられていないと、問題を見るたびに解き方を考える必要があり、余計に時間がかかってしまいます。
また、「推論」など1つの単元の中にも、「問題の出題パターン」が複数あります。
解き方や使う公式は1種類ではなく、問題のパターンによって大きく異なります。どのような問題で何の解法を使用するのかという「出題パターン」を把握しておきましょう。
SPIは「時間との勝負」です。問題を見てすぐにどの解法が当てはまるのかを判断できれば、自然と解答スピードも上がります。
問題パターンを掴むためには、1冊の問題集を何度も繰り返し解くことがおすすめです。
企業によってSPIの難易度が異なるということはありません。
ただし、選考通過のボーダーラインを設定している企業が多く、合格とされるボーダーラインに違いがあります。
企業ごとのボーダーラインは公開されていないため、何割以上で確実に合格できるという正確な数値は把握することができません。
しかし、一般的には6〜7割以上であれば、大多数の選考に通過できると言われています。
そのため、SPI対策では7割以上の正答率を目指し対策しましょう。
下記は、SPIテストセンターで企業別に求められるボーダーラインの目安です。
企業が公開している情報ではないため、あくまで目安として確認しておきましょう。
8割以上 | 外資系企業 |
7割以上 | 五大商社 |
7割以上 | メガバンク |
6〜7割以上 | 日系大手メーカー・IT |
6割以上 | 日系大手食品・保険 など |
スキマ時間でSPIテスト対策をしたい就活生におすすめのSPI対策アプリです。全382問(非言語242問・言語90問・英語50問)が収録されているのに加え、丁寧な解説も付いています。
最新の出題範囲である「SPI3」に対応しており、アプリ1つで能力検査の対策が可能です。
分野ごとの演習に取り組み、解けない問題は解説を見て、その場で解き方を覚えましょう。
また、苦手科目や未回答の問題だけ解き、弱点克服に役立てることも可能です。
無料で利用できるので、気軽に対策することができます。
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SPI対策として定番の対策本で、通称「赤本」と呼ばれています。
わかりやすく使いやすいため、どの問題集を購入するか迷ったときには、まずこの問題集を選ぶことをおすすめします。
「テストセンター」「WEBテスティング」「ペーパーテスト」と、幅広い方式に対応しています。また、性格検査の解説も掲載しているので、適性検査対策もばっちりです。
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いわゆる「青本」と呼ばれるSPIの対策本。Amazonでもベストセラーとなっています。実際に出題された問題が詳しく分析、解説されています。
この問題集は、難易度が高い問題が多く収録されています。SPIテストにある程度慣れた就活生や問題の量をこなしたい人におすすめです。
SPIでは中学〜高校レベルの問題が出題されるので、基本となる知識を復習しておく必要があります。SPIテストの難易度は高くありませんが、しっかり対策しておくと安心です。
問題では公式の知識や語彙力・文章力が問われます。どれも隙間時間で対策できるものなので、日頃から意識して取り組むことが大切です。
アプリや問題集なども活用して、効率的に対策を進めましょう。