目次
SPIと一般常識では、問題の内容や受検形式など、主に4つの違いがあります。対策すべき内容も異なるため、それぞれの違いを事前に把握しておきましょう。
SPIと一般常識では、提供元がそれぞれで異なります。
SPIは、転職メディアで有名なリクルートのグループ企業である、「リクルートマネジメントソリューションズ」が提供しています。
SPIで出題される問題や検査方法は、リクルートマネジメントソリューションズが考えています。そのため、SPIを導入した企業が問題を変更したり、形式を変えたりすることは基本できません。
一方、一般常識は、応募先の企業が独自で提供しています。
大まかなテンプレートはありますが、基本的に問題内容や出題方法、検査で重視するポイントなどは企業によって異なります。
そのため、企業独自のオリジナル問題が出るケースも少なくありません。A社が提供していた一般常識問題をまる覚えしたからといって、B社で通用するとは限らないため注意が必要です。
SPI | 一般常識 |
■必ず出題される
言語分野(国語) 非言語分野(数学) 性格検査 ■出題される場合がある 英語 構造把握 |
社会常識
マナー 時事問題 国語 数学 理科 社会 英語 |
SPIと一般常識では、問題の出題内容に違いがあります。
SPIでは、国語にあたる「言語」、数学にあたる「非言語」、「性格検査」の3科目が出題されるのが基本です。
またSPIをテストセンターで受検する場合、「英語」と「構造把握」いずれかの科目が追加で出題されるケースもあります。
一般常識では、国語・数学・理科・社会・英語の5科目に加え、社会常識やマナー、時事問題と出題範囲がSPIよりも広くなっているのが特徴です。
SPIと出題内容が同じなのは国語・数学・英語のみです。そのため、SPIを対策するだけでは、一般常識で高得点を狙うのは難しいです。
SPIと一般常識では出題内容が異なり、それぞれで別の対策が必要となる点を把握しておきましょう。
SPIと一般常識は、受検形式がそれぞれ異なります。
一般常識は基本的に筆記試験となり、企業が用意する会場にて実施されるケースがほとんどです。
問題の解答方法は企業によってさまざまで、マークシート式を採用するところもあれば、文章で解答する記述式を採用する会社もあります。
一方でSPIは、以下のように複数の受検形式があるのが特徴です。
受検形式の名称 | 受検場所 | 受験方法 |
Webテスティング | 自宅など | パソコン |
テストセンター | リクルートが用意した会場 | パソコン |
ペーパーテスティング | 応募先企業が用意した会場 | 筆記 |
インハウスCBT | 応募先企業が用意した会場 | パソコン |
SPIでどの形式が採用されるかは、応募する企業によって異なります。
ペーパーテスティングでは筆記が必要となりますが、解答方法はマークシート式となっており、記述問題は出てきません。
SPIと一般常識では、SPIを実施する企業の方が断然多い傾向にあります。
SPIは年間で18,000社を超える企業が導入しており、採用試験で行われる適性検査の中ではトップクラスのシェアを誇ります。
志望先で適性検査を行うと提示されたら、ひとまずSPIが実施される可能性が高いと判断して良いでしょう。
一般常識は、企業が独自で問題や評価基準を作成する必要があるなど、導入に手間がかかる要素が多いです。そのため、システムがあらかじめ完成されているSPIと比較すると、実施する企業は多くありません。
まだ志望先が定まっておらず、SPIと一般常識どちらが実施されるかわからない状態にあるなら、ひとまず実施可能性の高いSPIを優先的に対策しておいた方が良いでしょう。
SPIと一般常識では、基本的に一般常識の方が対策が難しいと感じる人が多いです。
前提として、SPIと一般常識で出題される問題の難易度に大きな差はありません。いずれも中高生レベルの問題が出題され、どちらかが極端に難しいということは無いです。
ただし、一般常識はSPIよりも出題範囲が広くなっています。SPIでは出題されない理科・社会のほか、時事問題も出題されます。
特に、時事問題で頭を悩ませる就活生は少なくありません。時事問題は最新の出来事や業界情報などに関する問題が出題されるため、普段からニュースをチェックするといった、他の問題とは異なる対策が必要となります。
問題の難易度にほとんど違いは無いものの、出題範囲が広くて勉強すべき内容が多い分、一般常識の方が高得点を取るのは難しいといえるでしょう。
SPIと一般常識は、いずれも結果が採用可否に繋がる可能性が高いため、軽視するのは望ましくありません。
入社志望が殺到する企業だと、応募者ひとり一人の能力を見抜くのは難しくなります。基礎学力や物事の考え方を図れるSPIや一般常識は、選考の効率を高めるうえでうってつけの手段です。
実際に多くの企業では、SPIや一般常識テストを「足切り」として活用している傾向にあります。テストで結果を出せない志望者は、たとえ他の能力が優れていたとしても、問答無用で落選となる恐れがあるのです。
「大して採用に影響しないだろう…」と甘く見るのは危険です。採用の可能性を少しでも高めたいのであれば、SPIや一般常識といったテストは念入りに対策しておきましょう。
SPIと一般常識の合格基準は企業によって異なり、具体的な指標は基本的にありません。
一般的には、6~7割程度の正答率を得られれば、大抵の企業は合格できるとされています。しかし競争率の高い企業だと、8割以上の正答率を合格ラインとするケースもあります。
SPIや一般常識の点数は、受検者に通知してもらえません。そのため、企業ごとの合格基準をネットで調べても、具体的な回答は得られない場合がほとんど。一概に「〇〇点以上をとれれば安心」とは言えないのです。
明確な合格ラインがない分、選考に繋がる結果を出すためには、とにかく高得点を目指すしかありません。
採用の可能性を高めたいのであれば、「平均点くらいを取れば問題ないだろう…」と安易に考えず、正答率8~9割以上を狙うくらいの気持ちで対策するのが望ましいでしょう。
SPIや一般常識問題は、事前に対策すればするほど結果に反映されるテストです。
SPIと一般常識で出題される問題は、中学高校レベルの基礎的な内容となっており、出題傾向もおおむねパターン化されています。
問題集を何度も解いたり、常日頃からニュースや新聞をチェックしたりといった地道な努力を続ければ、高得点も十分に狙えます。
逆に対策をしていないと、苦戦する可能性も高いです。SPIや一般常識ではシビアな制限時間が設けられるからです。
出題される問題の傾向をある程度把握していないと、時間配分に苦戦します。基礎学力に自信のある人でも、対策を一切せずに臨むと時間切れとなる可能性が高いです。
試験を実施する企業側も、SPIや一般常識は対策すれば高得点を取れると把握しています。対策しているか否かを重視している傾向にあるため、事前に準備したうえで臨みましょう。
SPIは出題される問題がある程度決まっており、一般常識に関する問題は出ません。
志望先でSPIのみが実施されるとわかっているのであれば、一般常識に勉強時間を割くのは控えるべきです。
一般常識を勉強すれば、時事問題やビジネスマナーも学べるため、就職後に役立ちはするでしょう。とはいえ、一般常識の勉強に時間を割いて、肝心のSPIが不合格になっては本末転倒です。
一般常識は出題範囲も広く、SPIと並行して学ぶのは簡単ではありません。就職活動で忙しく、時間が限られている学生であればなおさらです。
無駄な努力とならないよう、SPIのみが実施されるとわかったら、SPIの対策に集中しましょう。
SPIを対策するうえでまず実践すべきなのは、問題集をひたすら解くことです。
SPIで出題される問題は、ある程度パターン化されています。たとえば、非言語分野なら、「代金精算」や「損益算」、言語分野なら「語句の意味」や「熟語の成り立ち」といった問題がほぼ毎回出題される傾向にあります。
問題集を何度も解いておけば、どんな問題が出題されるのかパターンを大まかに把握でき、本番でもスムーズに問題を解けるようになります。
問題集をやりこむうえでは、一冊の問題集に絞って対策するのがおすすめです。複数の問題集を対策していると中途半端になってしまいやすく、頭にも入りにくいからです。
ひとつの問題集をひたすら解いて傾向と苦手分野を把握し、つまずきそうな科目をより重点的に対策すれば、高得点も十分狙えます。
「SPI対策問題集」では、実際のSPIで出題される可能性の高い問題を網羅しているWebサイトです。無料で見れるので、問題集と並行して活用してみましょう。
本番さながらの模擬試験も用意しているので、SPIを対策する際はぜひチェックしてみてください。
SPIでは、受検者の物事に対する考え方や、ストレス耐性などをチェックするための「性格検査」も実施されます。
性格検査と聞くと明確な答えは無いように思えますが、対策できるポイントがあります。それは「解答の一貫性」です。
性格検査では約300の質問が出題されるうえ、受検時間も約30分と決して長くはありません。不用意に解答していると、序盤と終盤の質問で解答にブレが生じるケースが多々あります。
たとえば、「物事は基本最後までやり遂げる」という質問でYESと答えたのに、「粘り強い性格だ」といった質問はNOと解答してしまうなどです。
あまりにも矛盾点が多ければ、良い評価も下されません。質問へスムーズに解答するためにも、事前に自己分析をしておくことが重要です。
自己分析をするうえでは、過去の経験を振り返り、印象的だった出来事に対してどのような感想を抱いたかノートにまとめるのが有効です。「あの時はなぜそう思ったのだろう?」と自問自答を続ければ、自分の価値観や判断基準がより明確になります。
SPIの勉強を続けてある程度傾向がわかってきたら、制限時間を意識して模擬問題を解いてみましょう。
SPIは制限時間が短めに設定されており、おおむね1問あたり1分のペースで解かないと間に合いません。
SPIをPCで受検する場合、正答率が高くなるほど問題の難易度が上がるため、時間配分を意識しないと時間が足りなくなる可能性も高いです。
時間配分を大まかに把握するためにも、普段から本番と同様の制限時間で練習するのが望ましいです。
練習の時点で制限時間内に解けるようになれば、本番でも焦らず対処でき、テンポよく問題を解き進められるようになります。
SPIは、受検形式によって問題の解き方も若干変わります。
たとえばペーパーテスティングでは、問題がテスト用紙にすべて記載されているため、ひとまず自分が分かる問題から手をつけることができます。
一方、Webテスティングでは、問題が1問ずつ出題されるため、分かる問題から解くといった対策ができません。もし前半であまり解けなかったら、焦って実力を発揮できなくなる場合もあるでしょう。
本番でも実力をフルに発揮できるよう、受検形式に沿った環境で練習を重ねるのが望ましいです。
ペーパーテスティングなら模擬問題を印刷して解く、Webテスティングならネット上にある模試をひたすら練習する、といった形です。
テストセンター形式の場合は、学校やネットカフェなどに設置されているパソコンで模試を解くなど、自宅と異なる環境で練習してみると良いでしょう。
使い慣れていないパソコンだと、マウス感度や画面サイズなどの違いに戸惑い、集中力が途切れることもあります。普段と違う環境に慣れておくと、本番でも落ち着いて取り組めるでしょう。
一般常識は出題範囲が広く、ただやみくもに対策するだけでは、高得点をとるのは難しいです。
限られた勉強時間で効率よく対策する方法を解説するので、ぜひ目を通したうえで対策に臨みましょう。
一般常識では基本的に、主要5教科に関する中高生レベルの問題が出題されます。
問題の内容は各企業が独自に作成するため、出題される問題を完全に予測するのは難しいです。
しかし、国語なら四字熟語や慣用句、社会なら地理や歴史といったように、出題される問題には大まかなパターンが存在します。
そのため、問題集を事前にやり込むことが効果的な対策となります。
中学や高校で学ぶ内容とはいえ、問題の範囲は幅広く、解き方を忘れている人も多いはずです。「学生時の成績は良かったから」と過信せず、問題集には目を通しておくことをおすすめします。
一般常識の問題集は、インターネット上で無料公開されていたり、スマートフォン用のアプリが提供されていたりなど、数多く存在します。手元に問題集が無い場合は探してみると良いでしょう。
まずはひとつの問題集に取り組むだけでも、自身の知識レベルや苦手とする分野が明確になり、より効率よく学習を進められるようになります。
時事問題を対策するために、SPIが実施されるとわかった時点で、ニュースや新聞を閲覧するルーティンを作りましょう。
一般常識で出題される時事問題では、世間で話題となった物事が出題される傾向にあります。
出題範囲が広く、近年の社会情勢に関する問題も出題されるため、過去問を解いているだけではカバーしきれません。
時事問題を対策するうえでは、普段から最新のニュースや新聞をチェックするクセをつけることが重要です。
「朝に5分だけ必ずニュースを見る」「夜寝る前に新聞へ目を通す」など、ルーティン化できれば意識せずとも大まかな社会情勢を把握できるようになります。
忙しい就職活動の最中、勉強時間をなかなか作れない人も多いでしょう。勉強する時間が少ない場合は、数学を優先して対策するのがおすすめです。
数学は、公式や解き方を理解していれば、多少難しい問題が出ても攻略できます。応用が利くため、暗記が必要な他の科目と比較すると、勉強した内容が結果に繋がりやすいです。
一方、数学以外の科目は暗記が必要となるケースがほとんどです。一般常識問題は出題範囲が広いため、暗記した内容が無駄になってしまうケースも少なくありません。
どうしても勉強時間の確保が難しいなら、まずは数学を重点的に対策しましょう。時間に余裕ができた際やスキマ時間を活用して、他の科目を勉強していくのがおすすめです。
【例題】
下線部の語が最も近い意味で使われているものを1つ選びなさい。
美術館からあしが遠のく
<選択肢>
言語では、語彙力を問う問題と文章力を問う問題が出題されます。語彙力問題は知識があれば解ける内容で、その場で考えることはほとんどありません。「知らないと解けない問題」の典型例ともいえます。
一方、文章問題は知識や暗記では解決できない内容になっています。バラバラであったり、空欄が含まれていたりする長文を自然に直す必要があり、問題への慣れが重要です。
どちらが難しいと感じるかは人それぞれですが、直前で対策を済ませやすいのは語彙力問題の方でしょう。暗記だけでも結果が見込めるため、頻出語句に軽く目を通しておけば正答率を上げられます。
【例題】
P、Q、Rの3人である商品を買った。このとき、Pは一万円札しか持っていなかったためPはとりあえずそれを出して、Qは五千円札しか持っていなかったためQもとりあえずそれを出した。そしてRもいくらか出して、お釣りが来ないようにした。後で3人の負担額を均等にするために、QはPに400円、RはPに4200円を支払った。
Rは商品を買う際にいくら払ったか。
<選択肢>
非言語は出題範囲が広いものの、大半は計算問題となっています。高度な計算は求められず、中学・高校までの知識で問題なく解ける内容です。
ただし、忘れがちな公式や計算方法を使う問題が多いので、うろ覚えで臨むとやり方を思い出している間に時間切れになってしまいます。基礎から復習し、間違った覚え方をしている部分がないか確認しておくことが重要です。
なお、推論は計算をほとんど使わず、問題文を論理的に読解して答えを出す内容になっています。計算力に自信があっても躓きやすいポイントなので、個別で対策しておくことをおすすめします。
【例題】
次の説明文に最も近い意味を持つものを、AからEまでの中から1つ選びなさい。
a terrible event that causes a lot of destruction and damage
<選択肢>
英語は語彙力の比重が大きく、単語・文法の知識が足りないと悪い結果になりやすい科目です。
長文読解も出題されますが、こちらは前後の文章などから意味を推察しやすいため、知識不足でも解ける可能性が高いです。
「単語の意味を答える」といった問題がなく、「提示された意味に適した語句」「空欄に入る語句」などを選ぶことになります。そのため、意味と語句が結び付いていないと、適切な語句を選び出すのは難しいでしょう。
求められる英語力は高校レベルまでなので、昔使っていたテキストや単語帳でも十分練習になります。言語・非言語とは違って必出の科目ではありませんが、外資系の企業を受ける場合は出題される可能性が高いです。
<一般常識の社会の例題>
第一次世界大戦のきっかけにもなったサラエボ事件で暗殺されたのは、次のうちどの国の皇太子か。
【選択肢】
A.イギリス
B.フランス
C.オーストリア
D.ドイツ
【正解】
C.オーストリア
オーストリアの皇太子夫妻をセルビアの青年が暗殺した事件で、これを機にヨーロッパを中心とした約30ヶ国が参戦する第一次世界大戦が勃発しました。
<一般常識の時事問題の例題>
2025年6月に成立した年金制度改革法により、主にパートタイム労働者の働き控えの原因となっていた年収の壁が撤廃されることになった。解消される年収の壁とは次のうちどれか。
【選択肢】
A.106万円の壁
B.113万円の壁
C.121万円の壁
D.132万円の壁
【正解】
A.106万円の壁
106万円の壁とは、年収が106万円以上になると社会保険に加入する義務が発生するため、働く時間を抑えて保険料負担を避けるようとする人が多くなっている問題のことです。
年金制度改革法によって、106万円の壁は2026年10月から順次撤廃されます。
<一般常識のビジネスマナーの例題>
「来る」の謙譲語は次のうちどれか。
【選択肢】
A.参る
B.おいでになる
C.いらっしゃる
D.お見えになる
【正解】
A.参る
謙譲語は、自身がへりくだった表現をする際に使います。B・C・Dは相手を立てるときに使う「尊敬語」となるため、不正解となります。
一般常識では、歴史の知識や、直近の時事問題、ビジネスマナーなどに関する問題が出題されます。歴史の知識は、有名どころを押さえておけば問題ないでしょう。
一方、時事問題は企業によって選出傾向が変わりやすいです。よくニュースになっているような内容だけでなく、志望業界に関連した内容が出ることもあります。直近の動向も含めた、業界研究の深さが問われる内容です。
また、ビジネスマナーは外部とのやり取りが多い部署では重視されやすいでしょう。
入社後に研修は行われるはずですが、それ以前に備わっていてほしい基礎的な部分を試されているのだと意識するべきです。
SPIと一般常識では、提供する企業や出題される問題など、異なる点が多々あります。
SPIでは自己分析を実施する、一般常識ではニュースを普段から見るルーティンを作るといったように、対策法もそれぞれで異なります。
両方を対策するのが望ましいですが、ただやみくもに勉強していては高得点は狙えません。特に一般常識は出題範囲が広く、時間が限られている中、SPIと並行しながら隅々まで勉強するのは現実的ではありません。
それぞれの違いや特性を把握したうえで、対策すべき内容を絞り、効率的な学習計画を立てることが突破のカギとなります。
SPIと一般常識は異なる点が多いものの、結果が採用可否に繋がる可能性があるのは共通しています。
「簡単だし、ちょっと勉強すれば大丈夫だろう…」と甘く見ず、本記事で紹介した対策法を実践し、採用の可能性を少しでも高めましょう。